研究課題
本年度も研究をA)~C)の三つの分野について、それぞれ進行した。A)ジェットエンジンの状態遷移:国際的な連携をもとに可視光とX線観測を総合した早期残光の観測をすすめ、その成果を査読論文として公表した。また、本課題で開発している超広視野可視光望遠鏡WIDGETについては、観測装置の整備・更新をすすめた。野外での無人観測システムであるため、気象条件に敏感に対応できず、結露が問題になっている。そこで、従来使用していた冷却CCDに代えて、市販のC-MOS型カメラを購入し、代替が可能か調査をすすめ、おおよそのめどを立てることができ、GRBジェットの時系列的観測の基盤を確立できた。B)ジェット内部の物理:Swift/BATと同期して「すざく」WAMで観測したGRBの内、孤立したパルスを示すものに着目し、パルスごとのスペクトル変動を詳細に解析した。この結果、従来から指摘されていた、GRBスペクトルの軟化には、fast-cooling regimeに従ったシンクロトロン冷却と、光学的に厚い領域の熱的放射領域の冷却の2種類が存在しうることを示唆する結果を得た。この結果は、国際学会にて公表し、査読付き収録として投稿中である。C)ジェット環境:2015年度打ち上げのASTRO-Hに搭載されるX線マイクロカロリメータをつかい、遠方ジェット天体の環境を調査するために超高精度分光観測計画を立案した。計画はGRBのX線残光観測によるGRB環境とあわせて低電離の銀河間物質による吸収線の観測計画と、ブレーザー天体による銀河間物質の調査をあわせたもので、その科学的意義と予想される成果については、査読の上、ASTRO-H White Paperの一部として、公表されている。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Publications of Astronomical Society of Japan
巻: 67 ページ: 12 pp.
10.1093/pasj/psv011
The Astrophysical Journal
巻: 789 ページ: 8 pp
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10.1093/mnras/stu1017