研究概要 |
平成22年度前半は、2MASS及びDSSに基づく減光量マップの整備を行った。特に、2MASSによる近赤外線全天減光量マップの完成に最優先で取り組んだ。その結果、百分順位法・色超過差分法という独自に開発した解析手法を適用し、全天を網羅する減光量マップを1'グリッドで作成することができた。得られた全天減光量マップを、日本天文学会の学会誌に分子雲コアのカタログとして発表した(Dobashi,K.2011,Publications of the Astronomical Society of Japan,Vol.63 SP1,S1-S362)。さらに、このデータを研究者が広く利用できるよう、東京学芸大学のホームページ上で公開した(http://darkclouds.u-gakugei.acjp/)。このホームページは、近赤外線減光量マップの貴重なデータベースとして、現在世界各国の天文学者から利用されている。 得られた分子雲コアのデータを基に、平成21年度後半から大阪府立大学1.85m鏡による観測を開始した。同望遠鏡により、これまでに100個近い分子雲コアの一酸化炭素の分子輝線(200GHz 帯)による分子分光観測を遂行した。特に、本研究の主な観測対象であるCygnus領域の巨大な分子雲コアや、クラスタ形成を伴うHII領域中の分子雲コアについてのデータ取得を中心に観測を進めている。また、自己重力・乱流・磁場を取り入れた「自己重力MHD乱流AMRシミュレーション」のプログラム開発も、その基本部分の構築を進めることができた。
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