研究課題
研究の最終年度に当たる平成24年度は、主に、前年度取得したS247・S252領域のクラスタを形成している分子雲コアのデータ解析と、自己重力と乱流を取り入れたAdaptive Mesh Refinement(AMR)シミュレーションを遂行した。S247・S252領域のデータは、野辺山45m鏡によって取得したミリ波分子輝線(CO、SO、CS等)である。これらを解析することにより、クラスタ形成を起こすコアの平均的な質量(700太陽質量)や密度(水素分子密度で1立方センチメートル当たり10,000個)を測定することができた。また、クラスタを形成する分子雲コアの平均的な星形成効率は、30%程度であることが分かった。クラスタ形成が起きる直前の状態にあると考えられる分子雲コアL1004Eの観測・解析も行ったところ、このコアは1本当たり数百~千太陽質量の巨大なフィラメント群から構成されていることが判明した。さらに速度構造を調べたところ、フィラメント同士が衝突を繰り返している構造が読み取れた。観測により得られたフィラメントの密度・乱流を参考に、AMRシミュレーションを遂行し、その形成・進化を300万年間追跡した。その結果、単純な自己重力だけではフィラメント同士の衝突は稀にしか起こらず、観測データを説明するためには分子雲コア外部からの衝撃波等の影響が必要であることが示唆された。実際に、L1004Eの近傍には超新星残骸HB21がある。このような超新星残骸からの影響により、分子雲コア内でのフィラメントの衝突やそれに誘発されるクラスタ形成が起きるものと考えられる。また、このシミュレーションでは、分子雲コアの進化が進み自己重力による構造が形成され始めると、コア全体の密度分布がログノーマルな分布からズレはじめることが分かった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://astro.u-gakugei.ac.jp/~tenmon/Atlas/index.html