研究課題
本年度は、6台のアンテナから構成される野辺山ミリ波干渉計(NMA)システムのうち、比較的システムの新しいF号機1台を利活用してこれを単一鏡化し、惑星大気観測専用の望遠鏡に改良する準備を行った。NMAは2011年5月に、ミリ波干渉計の部分運用・教育目的の運用が終了する。よって6月より円滑に望遠鏡改良作業にとりかかれるように、装置群の構築・立ち上げ・評価などを進めた。また、複雑なLO系や相関器分光計を有するNMAシステムを、どのように解体し、システムを利活用し、アンテナを単一鏡として駆動するか、現実的な解を検討した。NMAの受信機の初段のIF出力5-7GHzを、デジタルフーリエ変換(DFT)分光計の中心周波数0.5GHzにあわせるため、2^<nd>-LO用シンセサイザーを導入し、IFをダウンコンバートするシステムを構築し、ラックにくみ上げた。また、減衰器やシンセサイザーなどのリモート制御プログラムを構築した。DFTは、Linux(Cent-OS)-PCを導入し、Python言語により制御し、NMAのアンテナ駆動の既存プログラムとソケット通信できるようにした。温度標準黒体や冷凍機冷却ヘッドなど、望遠鏡内の要所の温度を監視できるようにし、この結果をもとに、温度変動対策を施し、どの位置に温度安定を必要とする各種装置を配置するかレイアウトを検討した。また、CCDカメラによる光学ポインティングのため、CCDの修復、ケーブルやドライバーの設置などを行った。この他、SIS受信機の電流値を常時監視し、SISのバイアス印加状態、LO系や冷凍機温度の変動を、観測データの選別・抽出に利用し、高信頼の解析が行えるようにした。また、F号機に搭載していく、線形性が良くかつ感度の高い230GHz帯のSIS素子設計を進めた。45m望遠鏡などの惑星観測の結果の解析や、ALMAプロポーザルの準備なども平行して進めた。
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Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: Vol.63, No.1 ページ: 171-197
The Astrophysical Journal
巻: Volume 724, Issue 1 ページ: 59-68