研究概要 |
平成24年度に行った研究開発は以下の通りである。 1) 分割鏡制御試験:名大で組み立てられている望遠鏡架台上での分割鏡制御試験を継続し、望遠鏡高度角が30°,60°,90°(真上)の3つの角度付近で、天体追尾時の駆動速度において15nmの制御精度を確認した。望遠鏡停止時に比べて、駆動時には1Hz付近での不安定性が若干増加するものの、基本的にはセンサの測定精度が制御精度を決定する状況となっており、光軸方向の制御性能に関してはほぼ目標の性能に到達したと判断できる。しかし一方で、横ずれ方向の安定性の問題は改良を加えても劇的な改善は見られなかったため、メンテナンス性重視の鏡と支持機構を接着しない方式から、安定性重視の鏡と支持機構を接着して一体化する方式に切り替えて、開発を継続している。 2) 分割鏡形状の光学的確認試験:直径1.3mの平面鏡とハルトマン板を用いて、内周用分割鏡の形状確認のためのオートコリメーション法による光学試験を行った。具体的には、分割鏡焦点位置よりシングルモードファイバーを用いてレーザー波長の球面波を鏡面に向けて補正レンズを通して照射し、分割鏡で反射させてできる平行光を平面鏡で元の方向に戻して戻り光のスポット形状を見るもので、平面鏡の前に10cm間隔で穴を開けた板を置いて焦点前後のデフォーカス像を調べることで、ある程度の光学収差の判別も可能である。その結果、鏡製作時に使用しているCGH干渉計は少なくとも200nmよりも大きい間違いはなく、正常に機能している事が確認できた。 3) チューナブルレーザーによる位相カメラ試験:チューナブルレーザーと2つの固定波長レーザーによるスポット形状を、同時に取得して自動解析することで、気流の乱れた環境下でも分割鏡間の相対位置を15nm程度で決定できることを確認した。 4) その他:観測装置および望遠鏡焦点周りの構造の概念検討を行った。
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