研究課題/領域番号 |
22340045
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
嶺重 慎 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70229780)
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キーワード | ブラックホール / 宇宙進化 / 降着円盤 / 輻射過程 / X線放射 / 重力波放射 / ガスダイナミクス / 活動銀河核 |
研究概要 |
銀河同士の合体に伴い、中心の巨大ブラックホール同士も合体して大きくなったことが示唆されている。それが正しければ、合体前のブラックホールのペア、バイナリーブラックホールの形成は必然であるが、未だ観測的証拠は無い。本研究の目的は、バイナリーブラックホーに特有な電磁波放射変動特性を明らかにすることにより、ブラックホール成長を観測的に検証するための方法論を確立することにある。2年度は、以下の4テーマに取り組んだ。 1.バイナリーブラックホールのガスダイナミクス計算:バイナリーブラックホールを取り巻く円盤からのガス降着流を、二ブラックホールの質量比、連星系軌道の離心率、軌道面と円盤面の角度の3つのパラメータを変えてシミュレーションした。予想に反し、バイナリーブラックホールの光度曲線に、大きなバライエティがあることがわかった。現在、結果を論文をまとめつつ、粒子数を増やした再計算が進行中である。 2.活動銀河中心核における非対称なダブルピーク広輝線を説明する理論モデルの構築:奇妙なダブルピーク輝線プロファイルを、バイナリーブラックホールの潮汐ポテンシャル中の輝線放射ガス雲の運動で説明するモデルをたてシミュレーションを実行した。予想通り、非対称なプロファイルおよびその時間変動を再現することに成功した。論文執筆中である。 3.バイナリーブラックホールを取り巻くガス円盤の探査:合体前のブラックホールは強い重力波を放射する。その放射特性に、バイナリーブラックホールの存在が影響を与えることを見いだし、その効果を定量的に明らかにし、論文を投稿した。 4.放射特性の計算:ブラックホール降着流からの放射スペクトルを、未解明の超臨界降着のレジームについて、輻射磁気流体シミュレーションおよびモンテカルロ法により調べ、論文報告をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
優秀な研究員および大学院生の働きにより、計画通りのシミュレーションをほぼ実行したうえ、論文執筆および関連した話題の議論も進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
継続して、粒子数を増やし、精度をあげたシミュレーションを行う。また、輻射過程および輻射スペクトルの精密計算を続行する。並行して論文執筆を進める。
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