研究課題
日本のX線天文衛星すざくで、TeVガンマ線未同定天体(暗黒加速器) HESSJ1646-458の観測を行った。この天体は、スーパークラスターWesterlund I、GeVガンマ線パルサーPSRJ1648-4611と一部重なるものの、何が対応天体なのかわかっていない。我々はPSRJ1648-4611の部分をすざく衛星で観測し、このパルサーを取り囲む、空間的に広がったX線放射を発見した。X線スペクトルの調査から、この放射はパルサー風星雲起源であることを示した。従来、PSR1648-4611にはパルサー風星雲の存在が知られておらず、我々は新たなパルサー風星雲を発見したことになる。このパルサー風星雲のX線光度(7.3E32 erg/s)は、PSRJ1646-4611のスピンダウン光度(1E35 erg/s)から予想される数値よりも、約2桁近く明るい。このことは、非常に高い効率で粒子加速が行われていることを示唆する。おそらく、PSRJ1646-4611で加速された粒子がHESSJ1646-458のTeVガンマ線放射にも相当寄与しているだろう。つまり、ある暗黒加速器の正体を明らかにしたことになる。次に、すざく衛星、米国のChandra衛星、欧米のXMM-Newton衛星のアーカイブデータを利用して、8個の暗黒加速器のX線観測データの解析を行った。その結果、いくつかの暗黒加速器のそばに、空間的に広がった暗いX線天体を発見した。しかし、例えばTeVガンマ線放射とX線放射の位置が一致するなどの、ガンマ線とX線の関連が明確にわかるような天体は見つからなかった。正体の判明しているTeVガンマ線天体には、超新星残骸やパルサー風星雲などのX線対応天体が見つかる事と、対照的である。暗黒加速器は、通常の超新星残骸やパルサー風星雲とは異なることを物語る。今後の更なる観測研究が必要である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件)
Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: - ページ: -
Astroparticle Physics
巻: 43 ページ: 3 -- 18
10.1016/j.astropartphys.2013.01.007
巻: 64 ページ: 112-1 -- 112-11
The Astrophysical Journal
巻: 752 ページ: 38-1 -- 38-14
10.1088/0004-637X/752/1/38
Proceedings of the SPIE
巻: 8443 ページ: 84435C-1--7
10.1117/12.927271
巻: 8443 ページ: 844359-1--6
10.1117/12.925847
巻: 8443 ページ: 844324-1--8
10.1117/12.926753
巻: 8443 ページ: 84431Z-1--22
10.1117/12.926190
American Institute of Physics Conference Series
巻: 1505 ページ: 805 -- 808
10.1063/1.4772382
巻: 8443 ページ: 84435B-1--8
10.1117/12.925902
巻: 8443 ページ: 844357-1--6
10.1117/12.925860
巻: 8443 ページ: 844356-1--7
10.1117/12.925879