超高エネルギー宇宙ニュートリノの流量が、宇宙線放射天体の輝度及びその宇宙開闢からの歴史によってどのように決まるかを解析的に計算する手法を開発した。その過程を逆にたどることにより、観測されるニュートリノ流量から宇宙線放射天体の性質を決定することができる。この計算によりIceCube 実験のこれまで及び近未来の結果から宇宙線起源に制限をつけ、論文として Physical Review D に出版した。この手法を最新のIceCube データ解析結果に当てはめる予定である。 IceCube の 9 割が稼働した2010-2011 年取得データの解析を完了した。氷河表層にある空気シャワーアレイとの連動解析アルゴリズムも開発を終え、感度を改善した。宇宙ニュートリノ事象は見つからずに流量上限値を算出した。さらに IceCube 全装置が完全稼働を開始した2011年5月以降のデータ解析も完遂した。最速に解析を完了するために、このデータセットに適用する解析アルゴリズムを改良し、事象再構成にかかる計算スピードを5分の1に短縮するした。探索の結果 PeV のエネルギーに達するニュートリノ2事象の同定に成功した。これは史上最高エネルギーのニュートリノであると共に高エネルギー宇宙ニュートリノの存在を示唆する初めての観測的証拠である。この2事象が宇宙由来ではなく雑音事象で説明され得る確率は千分の1に過ぎない。系統誤差の大きさを詳細に検討し結果の信頼性を担保する作業を終え、宇宙ニュートリノ模型の検定も行った。最終結果は2編の論文としてまとめの作業に入っており、うち1つは2013年4月中旬に正式投稿される手はずになっている。
|