研究概要 |
不安定核ビーム(^<12>Be)を用い、従来不可能であった逆運動学による発熱型(p,n)型荷電交換反応測定を遂行し、中性子過剰な不安定核のスピン応答の研究を推進する。特に、以下の二つ (1)中性子過剰核^<12>Beを標的とするガモフ・テラー(GT)巨大共鳴の測定と遷移強度の導出、 (2)低励起に現れるスピン・ダイポール共鳴測定による閉殻構造の破れの検証、に焦点を絞り研究を進める。 実験は、理研RIビームファクトリー(RIBF)施設に我々が特別推進研究で建設した高分解能磁気分析装置(SHARAQ)に、大立体角低エネルギー中性子検出アレーを建設・設置し遂行する。 本研究の目標は、逆運動学を使った新たな核分光学的手段を開発することである。本年度は 1.実験の全体計画を詳細に詰め、理研RIBFに実験プロポーザルを提案した。優先度Aで提案した実験は受理され平成23年度中に目的とする実験が実現できることとなった。 2.中性子検出器アレイの検討を進め、30台のプラスチックシンチレータを標的の左右に配置(合計60台)できるように設計した。検出器としての基本性能テストを行った。 3.低エネルギー中性子検出用の専用散乱槽ならびに液体水素標的の設計を進めた。 4.不安定核ビームに起因する実験上の問題点、例えば中性子のバックグランドなどを検討するために、不安定核^<56>Niビームによる吸熱型(p,n)型荷電交換反応測定の測定を、研究協力者(R.Zegersと笹野匡紀)と米国ミシガン州立大学国立超電導サイクロトロン研究所に於いて遂行した。現在データ解析中ではあるが、中性子のバックグランドは問題にならないことが明らかになった。
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