研究課題/領域番号 |
22340049
|
研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
酒井 英行 独立行政法人理化学研究所, 共用促進・産業連携部, 部長 (90030030)
|
研究分担者 |
矢向 謙太郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (50361572)
|
キーワード | 不安定核ビーム / 逆運動学ビーム実験 / ガモフ・テラー遷移 / スピン双極巨大共鳴 / 発熱型(p,n)型荷電交換反応 |
研究概要 |
不安定核ビーム(^<12>Be)を用い、従来不可能であった逆運動学による発熱型(p,n)型荷電交換反応測定を遂行し、中性子過剰な不安定核のスピン応答の研究を推進する。特に、以下の二つ (1)中性子過剰核^<12>Beを標的とするガモフ・テラー(GT)巨大共鳴の測定と遷移強度の導出、 (2)低励起に現れるスピン・ダイポール共鳴測定による閉殻構造の破れの検証、 に焦点を絞り研究を進める。 今年度は 1.実験実施上最も中心となる検出器である、60台のプラスチックシンチレータによる中性子検出器アレイ(WINDS)を組み上げ、検出器としての基本性能を確認した。 2.不安定核(^<12>Be)ビームが利用できる理化学研究所仁科加速器研究センター(RIBF)に於いて計画した実験、^1H(^<12>Be,n)^<42>B反応測定をSHARAQ電磁スペクトロメータとWINDSを使い遂行した。尚、不安定核^<12>Beビームのエネルギーは200MeV/u、標的は液体水素である。 3.計画した測定ができ、世界初の不安定核についてのスピン・アイソスピン応答を求めることができた。 4.現在、詳細なデータ解析中であるが、実験中のオンライン解析で、すでにGT巨大共鳴が観測され、二山に分離していることが明らかになった。一方、不思議なことに、強度の強いスピン・ダイポール共鳴は発見できなかった。 5.これに先駆け、実験技術習得のために、不安定核^<56>Niビームによる吸熱型(p,n)型荷電交換反応測定の測定を、研究協力者(R.Zegersと笹野匡紀)と米国国立超電導サイクロトロン研究所(NSCL)に於いて遂行した。この結果は、国際学術誌Phys.Rev.Lett.に掲載された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
理論で予測されていない、GT巨大共鳴の二山分離や、高強度スピン・ダイポール共鳴が観測されないなど、予想外の発見があり、大きな成果が上がったため。
|
今後の研究の推進方策 |
詳細な解析を進め、論文として出版するのが、来年度の目標である。
|