研究概要 |
不安定核ビーム(12Be)を用い、従来不可能であった逆運動学による発熱型(p,n)型荷電交換反応測定を遂行し、中性子過剰な不安定核のスピン応答の研究を推進する。特に、以下の二つ (1)中性子過剰核12Beを標的とするガモフ・テラー(GT)巨大共鳴の測定と遷移強度の導出、(2)低励起に現れるスピン・ダイポール共鳴測定による閉殻構造の破れの検証 に焦点を絞り研究を進める。 今年度は 1.理化学研究所仁科加速器研究センター(RIBF)に於いて、不安定核(12Be)ビームによる、1H(12Be,n)12B反応測定をSHARAQ電磁スペクトロメータとWINDSを使い遂行した。詳細なデータ解析中であるが、大ざっぱな解析から、すでにGT巨大共鳴が観測され、二山に分離していることが明らかになった。一方、不思議なことに、強度の強いスピン・ダイポール共鳴は発見できなかった。 2.定量的解析に若干時間を要しているが、計画した測定が完了し、世界初の不安定核についてのスピン・アイソスピン応答を求めることができた。 3.これに先駆け、実験技術習得のために、不安定核56Niビームによる吸熱型(p,n)型荷電交換反応測定の測定を、研究協力者(R. Zegersと笹野匡紀)と米国国立超電導サイクロトロン研究所(NSCL)に於いて遂行した。この結果は、昨年は国際学術誌Phys. Rev. Lett.にそして今年度は本論文がPhys. Rev.C に掲載された。
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