研究課題/領域番号 |
22340052
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
初田 哲男 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20192700)
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研究分担者 |
平野 哲文 上智大学, 理工学部, 准教授 (40318803)
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キーワード | 量子色力学 / 冷却原子気体 / 強相関プラズマ / カラー超伝導 / バリオン超流動 |
研究概要 |
低温・高バリオン密度での様々な量子相転移と、それと密接に関係する高密度物質の 相構造や状態方程式を、高密度QCDと冷却原子気体の両方の観点から統合的に理解することが本研究の目的である。今年度は、以下の3点について研究を遂行した。 [i]対称性に基づく相競合の解析と相分類:虚数化学ポテンシャルがある場合のQCD相図は実化学ポテンシャルと密接に関係し、かつ特有の周期的相構造を持つことが知られているが、その詳細は明らかでなかった。今年度は、ギンツブルグーランダウのアプローチで虚数化学ポテンシャルー温度の空間での可能な相構造の分類を行い。格子QCD計算によるテストの可能性を拓いた。[ii]有限バリオン密度の状態方程式と中性子星の構造論:2010年に発見された1.97倍の太陽質量を持つ中性子星は、中性子星深部の状態方程式に大きな拘束をもたらす。今年度は、中性子星中心核のクォーク物質の状態方程式に新しい観測がどのような制限をつけるかについての研究を、クォーク物質に関する有効模型を用いておこなった。[iii]多成分混合冷却原子気体の物性:有限密度QCDと類似の相構造を持つと考えられる冷却ボースーフェルミ混合気体について、モンテカルロ計算に基づく数値解析を開始し。弱結合側での臨界温度の定性的ふるまいについて研究した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、前年度に発展させた概念的アイデアを定量的計算にのせていくことを可能にしたという点で順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究分担者の転出で、日常的な議論を通じた共同研究体制が少々困難になったため、冷却原子気体の専門家1名を新たな研究分担者に迎えて、より高密度QCDと冷却原子気体の物理の連携研究を強化する。
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