研究概要 |
本研究の目的は、強く束縛した安定核から非束縛状態の中性子超過剰核(非束縛核)にいたる核子多体系の統一的な理解を目指し、とりわけ研究の遅れている中性子過剰な非束縛核に焦点をしぼり、その特異構造を解明することである。そのため、1)高精細な中性子検出器を開発し、また、2)高強度の不安定核ビームを用い、分解反応によって非束縛核を生成し、不変質量法によりそのエネルギー準位と崩壊幅を決定する実験を行った。大立体角の中性子検出器NEBULAを完成させ、不安定核ビームの分解反応を用いて三体力の解明にも重要とされる非束縛核25O,26Oを生成し、また、殻構造の破れやハロー構造の解明にも繋がる非束縛核13Beの核分光にも成功した。さらに、本研究では、より高分解能で、3中性子以上の同時測定を目指し、高精細化されたプラスチックシンチレータから成る新型の中性子検出器(HIME)を開発した。そのプロトタイプを完成させ、設計通りの時間・位置分解能が得られることを確認した。さらに、モジュール化された中性子検出器に特化したシミュレーションコードを開発した。これらは非束縛核の研究の飛躍的な展開の契機となる成果である。
|