研究課題/領域番号 |
22340055
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小松 雅宏 名古屋大学, 教養教育院, 准教授 (80345842)
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キーワード | ニュートリノ / 原子核乾板 |
研究概要 |
昨年度に引き続き低エネルギーニュートリノ反応のデータをノンバイアスに捕らえるために、旧来とられているようなハイブリットカウンターとして用いたファイバートラッカーによるニュートリノ反応の選別と予想位置の算出といったバイアスを持ち込む要素を排除するために、全ての原子核乾板フィルムの全面積を読み出し飛跡の再構成を行うことでニュートリノ反応を抽出するという試みを継続している。 最も困難な点はやはり全面積を読み出すという膨大なスキャンニング時間を短縮する唯一の方法である読み出しシステムの高速化があげられる。こちらは我々の研究目的だけの物ではなく、原子核乾板を用いた実験全てに関わるものであり開発においては部分的な寄与となっている。高速化するにあたり、早いシャッター速度での運用が必要であるが、その際に重要な要素は顕微鏡の照明である。より明るい照明にすることでシャッター速度を速める事が可能である。そのための非常に輝度の高い光源として水銀ゼノンランプを採用した。また、解析用ソフトの改良開発も順次行っており。大面積での飛跡の再構成も可能な状態となっている。課題は低い検出効率下でのいかに正しい再構成を行うかという点が重要である。 次期ニュートリノ実験としてタウニュートリノビームを使ったより詳しいタウニュートリノの基本特性を調べるという実験の検討を主にヨーロッパの共同研究者と共に行っている。アメリカでの実験の可能性はTEVATRONのシャットダウンで事実上絶たれた状況であり、CERN SPSを用いる方向や、LHCのコリジョンポイントの延長線上での実験の可能性を模索している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次世代超高速飛跡読み取り装置の開発状況は軌道にのってきており、順調に進んでいる。それに伴いいよいよ全面積の読み出しを行う準備が整いつつあり順調に進んでいると考えてよい。
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今後の研究の推進方策 |
全面積を読み出すという試みは、これまでに手にしているデータとは質的に異なるものになることが予想される。ひとたびオンラインのシステムが順調に動き出した際にはオフラインの処理がボトルネックとなることが予想されるので、よりオフライン系の処理ソフト、システムの開発に力点をおく。 また、タウニュートリノの研究を今度どのようなプラットフォームで行っていくかの検討をより詳細に詰めていく。
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