本研究課題では、原子核乾板の3次元顕微画像(分解能1陣以下)として極めて高速(1秒/cm^2)に取得しリアルタイム処理する装置を研究開発し、到来方向検出による暗黒物質探索・ダブルベータ崩壊検出・ニュートリノ振動等の素粒子実験や非破壊検査に革新的な成果をもたらすことを狙う。5.1mm×5.1mmの視野もつ大型超広視野顕微鏡光学系を使用し原子核乾板画像を取得するにあたり、その視野間移動時間を最小にすることが、光学系及び撮像素子め利用効率を最大にすることになり極めて重要である。そのため、読み取る原子核乾板を固定する載物台を設計し製作した。3次元画像を取得するに必要な時間の70msecに対して、視野間の移動に要する時間を30msec以下にすることを可能にする。カウンターバランスを主載物台と同軸に設置し、また同じ特性のアクチュエーターで反対方向に駆動することとした。画像処理アルゴリズムについては、より高い飛跡弁別性能を得るため、従来のアルゴリズムを改良しつつ、本装置の光学系の特性に適合したものを開発する。特に従来はオフフォーカスな位置にある、飛跡銀粒子像を1次元FIRフィルターで除去していたが、本研究では最適化2次元フィルターによる抽出を行う。ただし、1撮像素子あたり毎秒600M画素の読み出しが行われるが、これを安価にリアルタイムで処理する必要があるため、従来使用していたFPGAに替わりGPUを用いた開発を行い毎秒500M画素の処理を達成した。新世代のGPUを使うことで当初の目標値が十分達成可能であることが明らかになった。
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