研究課題/領域番号 |
22340058
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
下田 正 大阪大学, 理学研究科, 教授 (70135656)
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研究分担者 |
小田原 厚子 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (30264013)
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キーワード | 中性子過剰核 / 殻構造の変化 / スピン偏極 / β遅発γ分光 / 魔法造の変化 / intruder configuration / 国際共同実験 / 30Mg |
研究概要 |
本研究は、陽子数と中性子数の比が安定核のそれと極端に異なる不安定核(非対称核子系)で発見された特異な核構造の発現機構を解明することを目的とする。そのためには、1990年代から重要な課題と位置づけられながらデータが極めて限られている、魔法数近傍の不安定原子核30Mg、31Mg、32Mgにおける励起状態のエネルギー、スピン・パリティ、遷移強度を測定しなければならない。 2010年度は、カナダ国立素粒子原子核研究所TRIUMFにおいて、魔法数近傍の不安定原子核30Mgを測定する実験に取り組んだ。我々独自の、極めて感度の高い実験方法は、30Na核を陽子ビーム入射反応によって生成し、その核スピンを特定の方向に揃え(偏極させ)、β崩壊(30Na->30Mg)および、30Mg核の励起状態からのγ崩壊を観測することによって、30Mg核の状態のスピン・パリティを決定し、核構造を解明するというものである 2010年7月までに、スピン偏極を保持するための高磁場永久磁石系、β線を測定するためのプラスティック・シンチレーター、高感度γ線検出器を取り付けるための架台を製作した。8月中旬の約10日間にわたる実験では、下田、小田原、大学院生4名、学部学生3名、フランスからの共同研究者1名が協力して、30Naのスピン偏極に成功するとともに、その崩壊データを取得した。 これまでの解析によると、30Mgのベータ崩壊に伴う新たなガンマ線を5本とエネルギー準位4本を初めて観測することに成功した。また、2つのエネルギー準位において、スピン・パリティを初あて決定することができた。
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