研究概要 |
3mm×3mm MPPC(50μm pitch)の2×2モノリシックアレイの基礎特性を試験し,ゲインのバイアス電圧特性と温度特性を調べた.絶縁破壊電圧は,個体により0.1V程度の違いがあるが,同じチップ上のチャンネル毎の差は0.1V以下で十分そろっている.温度依存性は平均で5.6×10^<-2>/℃,チップ間の差は3%程度でチャンネル毎の差は2%程度以下であった.その結果としてゲインの超過電圧特性は温度によらずほぼ一定で6.0×10^5/Vであり,チップ間,チャンネル間のばらつきとも2%以下という安定した結果が得られた.ゲインの温度特性は,70.3Vのバイアス電圧に対しておよそ-3.0×10^4/℃と得られ,これは,10^6ゲインに対して約3%/℃の変動幅に対応する.これらの値は1チャンネルMPPCの場合とほぼ同じで,アレイにしたことによるゲインへの影響等は見られなかった. 3mm×3mm MPPC(50μm pitch)の4×4アレイについても基礎特性を調べた.基本的な特性は単体のMPPCと変わらないことを確認できたが,チャンネル間の不感領域が大きく,実用化には問題がある. 夜光の暴露試験は継続中である.視野の広さにもよるが,夜光のレベルとダークカレントのレベルは似たオーダーで,大気チェレンコフ望遠鏡の焦点カメラとして実用化するためには,大型MPPCにおいては時間分解能の改善が必要であることが明らかになった. 一方高速読み出し回路はSPIROC-Aチップを入手し,性能評価を開始したところである.
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