第二年度にあたる本年は、実際にLuAGシンチレータの単結晶ファイバーを束ね、それをプレート上に整形するための試作を行った。厚みは充分なガンマ線吸収能を確保するため、10ミリとした。LuAGの輻射長は1.47cmで、密度は6.7g/cm3であり、MeVのガンマ線に対しても高い効率で検出が可能となる。 0.35mm径のファイバー1444本を束ねて、15ミリ角の面積を持つことを目指した。この有効面積を確保するためには、製作されたファイバーの径についてはその許容を広くせざるを得なかった。ファイバー間のクロストークは画像のにじみを抑えるためには、抑制する必要があり様々な物質の検討を行ったが、この施策では、2酸化チタン(TiO_2)を使用することにした。 端面の処理は、いわゆる光学研磨を施しS/D(Scratch/Dig)のMIL規格値で、60/40を目指すこととした。こうして出来上がった試作品を使って^<137>Csからの662keVのガンマ線と光電子増倍管をつかった発光スペクトルの測定を行った。比較はLYSOのブロック(10x10x20mm^3)を対照とした。LYSOではきちんとした光電ピークが観測されるにもかかわらずLuAGプレートによる測定では、指数関数的な現象を示す連続スペクトルが観測されるのみであった。ちなみにガンマ線オフでは、このスペクトルが消失することから発光があることは間違いない。これはファイバーの径が不揃いであること、奥行き方向のシンチレーション光のばらつきが極めて大きいことなどの理由が考えられる。この点について、次年度さらに定量的な測定を行うこととする。しかしながら平均光量としてLYSOの30%程度は確保されており、ファイバー形状であることを考えればそれほど悪いとはいえない。
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