研究課題/領域番号 |
22340068
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
中尾 幹彦 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80290857)
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キーワード | 素粒子実験 / B-ファクトリー / データ収集 / トリガ分配 / シリアルデータ転送 |
研究概要 |
平成23年度は研究計画通り、主に平成22年度に製作したトリガ信号とクロック信号を分配する回路を用いて、トリガ信号とクロック信号を分配する方法の研究を行った。クロック分配については、クロック信号が大規模実験全体を同期させるための非常に重要な信号であるが、同時に分配するトリガ信号からの干渉によりジッタが大きくなる現象が発生する場合があることがわかり、その影響を最小限に抑える方法を開発した。また、デッドタイムを抑制するためにはトリガ分配およびステータス収集に要する時間を最小限に抑える必要があるが、それと同時に多数の検出器読み出し回路にトリガ信号に加えてトリガの生成元や生じた時間の詳細情報などを同時に一本のシリアル信号線を用いて分配する必要があり、これをパラレル・シリアル変換やプロトコル変換の時間ロスが無視できない。平成23年度には、これらの情報についての洗い出しを行った。例えば毎秒254メガビットのシリアルデータ転送で8b10b変換を行った場合にデータの最小単位は約40ナノ秒ごとになるが、その中に5ビットの時間情報を埋め込むことにより約2ナノ秒単位でのトリガ生成時間を分配できる。また、トリガ情報用と他のデータ用とでビットの使用方法を分けることにより、トリガ信号を表す余分なデータとそれにかかる時間を必要としない。これらをC言語で記述したシミュレーションにより実証できることを確認した。ここで開発した方式によりトリガ生成から収集したステータスによる状態判定までの遅延時間を1マイクロ秒程度まで抑えることができ、トリガ分配におけるデッドタイム抑制の基本ステップのひとつをクリアすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
回路基板製作など大きく問題が発生する可能性のあるところで大きな問題は発生していないのでおおむね順調であるが、シミュレーションモデルのデバッグや詳細な問題点などの解決には時間がかかっており、当初の予定以上には進展することは出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのところ大きな問題は生じていないので、計画通り研究を進める予定である。また、他の読み出し回路や信号入力元などとの接続に関して回路設計を予定しているが、必要に応じて何をどのように開発していくかについては柔軟に対応していく予定である。
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