研究課題/領域番号 |
22340071
|
研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
上野 秀樹 独立行政法人理化学研究所, 偏極RIビーム生成装置開発チーム, チームリーダー (50281118)
|
研究分担者 |
旭 耕一郎 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (80114354)
|
キーワード | 核スピン偏極 / 核電磁モーメント / RIビーム / 魔法数 / 摂動角分布法 / β-NMR法 / 中性子過剰核 / 入射核破砕反応 |
研究概要 |
本研究は基底状態・励起状態のそれぞれについて、RIビームを用いた核モーメントという新たなアプローチを通じ、中性子数N=20で検証されている閉殻構造の異常性をN=28やそれ以外の遠不安定核領域で調べ、殻構造の発達に関する知見を得ることを目指している。研究は日欧共同研究として進行中である。 基底状態に関しては、N=20と28の二つの領域で研究を進めている。前者については、昨年度加速器のトラブルで中止となったが、本年度は仏国GANIL研究所にてAlの核四重極モーメント測定を実施した。この実験でAl-33核の電気四重極モーメントの精密測定に成功した。この研究に関しては、測定成功に関する論文を投稿中であり、精密測定に関する部分は解析を進めている。N=28領域は理研RIBF施設を用いた実験が準備中であり、現在ビームタイム配分待ちとなっている。 励起状態については、昨年度、理研のRIBF加速器施設におけるBigRIPS超伝導インフライトRIセパレータを用いて行った「二段核破砕反応を用いた新たな核整列生成法の開発」及び「S-43核のアイソマー状態の核四重極モーメント測定」について解析を進めた。前者で開発した高核整列RIビーム生成の新手法を、従来の手法と定量的に比較検討することでその有効性を示すことができた。後者でも解析をすすめ、N=28領域での核四重極モーメントの値を決定した。前者は論文執筆中、後者は論文投稿中である。また、励起状態に関しては新たにN=40領域でも研究を進めており、当該年度は理研の中間エネルギーRI分離装置であるRIPSを用い、Cu-69のアイソマー準位の核モーメント測定を行った。現在解析を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ビームタイムスケジュールの関係で、特に関心の高いN=28領域での基底状態の核モーメント測定がやや遅れているが、それ以外のビームタイムは順調に消化しており、実験では、日欧研究交流も盛んに行われている。また実験技術の観点から、最難関の開発案件であった二段核破砕反応を用いた新たな核整列RIビームの生成にも成功し、おおむね順調といえる。
|
今後の研究の推進方策 |
ビームタイムスケジュールによるが、日欧共同研究をより深め、N=28領域での基底状態の核モーメント測定を中心に進める。また、これに向けた技術開発も並行して進める。また二段核破砕反応を用いた新たな核整列RIビーム生成技術を応用した実験の検討も進める。同時に、昨年度測定に成功した実験について、3つの論文の執筆を進める(うち2つは投稿中)。当該年度測定を行った2つの実験については解析を進め、早い段階で論文執筆を開始したい。
|