研究課題
本研究は、中性子欠損安定核元素p核の起源を高速RIビームの反応実験を通じて探索することを目的としている。重元素の合成は天体での中性子捕獲、陽子捕獲などの原子核反応を通じて起こるとされているが、これまでの研究では元素組成を再現するに至っていない。本研究では、爆発的水素燃焼過程でp核生成に大きく寄与したと考えられる陽子捕獲反応の断面積を高速RIビームの反応実験を通じて決定し、p核生成メカニズムの全容解明への端緒を切り開く。実験では、高速RIビームの鉛標的上での分解反応を測定する。陽子を放出する分解反応は、陽子を捕獲する反応の逆反応に対応しており、この測定から天体での陽子捕獲反応の速度を高効率で決定することができる。平成22年度は、実験に必要となるシリコンストリップ検出器、およびその読み出し回路系の整備を進めた。シリコンストリップ検出器は、約900mmx900mmの大きな有感領域を持ち、200μmピッチのストリップの入ったものを用いる予定である。このシリコン検出器の信号を読みだす回路基板およびその基板へのボンディングための設計を完了した。また、後段の信号読み出し回路系として、5000倍程度の大ダイナミックレシジの回路を数千チャンネルで達成する高集積回路を新たに開発する必要がある。これを実現するために、高集積回路の開発設計、全体の回路システムの設計をアメリカのテキサス州立大学のグループと共同で進め、その回路に適合する大ダイナミックレンジの前置増幅回路の設計を行った。
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Proceedings of Science (11^<th> Symposium on Nuclei in the Cosmos)
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