研究課題/領域番号 |
22340073
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
福家 英之 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, その他部局等, 助教 (10392820)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 宇宙線 / ダークマター / 反粒子 / 反物質 / エキゾチック原子 / 測定器開発 / 気球実験 / エックス線 |
研究概要 |
本研究は、宇宙線中に微量に含まれている反粒子(とりわけ未発見の反重陽子)の高感度探索を通じてダークマター等の初期宇宙物理の課題に迫ることを最終目的とする。宇宙線反重陽子は、超対称性粒子ニュートラリーノを始めとするダークマター候補の対消滅を起源として極微量が存在している可能性がある。その検出に最適な低エネルギー領域(運動エネルギー数100MeV)にて最高の観測感度を得るため、宇宙線反粒子と測定器ターゲットとが形成するエキゾチック原子の崩壊過程から生ずる特性X線や荷電粒子を利用する、という従来にないオリジナルな粒子識別手法を用いた反粒子宇宙線測定器「GAPS(General Anti-Particle Spectrometer)」の開発を進めている。平成24年度はこれまでの研究成果を発展させ、プロトタイプ測定器による技術実証を目的とした気球実験を実施した。プロトタイプ測定器はGAPS測定器の各構成要素のスケールモデルから構成し、およそ1.4m×1.6m×高さ2.2mの気球搭載型ゴンドラに組み上げた。気球実験は6月3日に北海道の大樹航空宇宙実験場にて実施し、30km以上の高高度での3時間を含む計6時間のフライトを実現した。このフライトの全般に亘って測定器は動作し、その結果、のべ100万事象を超えるデータを取得した。これにより、技術実証試験の3つの主目標であった、GAPS測定器要素が気球の実飛翔環境下で期待通りに動作することの確認、冷却系の動作確認と熱データの取得、飛翔環境下でのバックグラウンドデータ取得、をいずれも達成した。GAPSのような検出手法を用いた測定器やGAPS熱制御系への採用を検討している自励振動ヒートパイプが飛翔環境下で動作したのは、世界に先駆けての成果である。フライトデータの詳細な解析を進めており、順次学会や学術論文にて成果を発表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロトタイプを用いた気球実験を実施し、測定器各要素および全体システムがフライト環境下で期待通りに動作することを実証する、という当初の計画で期待した通りの成果を挙げた。また、システム設計などの研究開発も予定通り進めている。従って、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
プロトタイプ気球実験を含むこれまでの実験で得られたデータを最大限に活用してGAPS測定器やシステムの設計をさらに深め、本研究の目的を達成したい。低エネルギー反粒子のビームテストを実現できれば尚良いが、東日本大震災によるJPARC計画の遅れの影響もあって、実現性が低くなってきた。そのため、それを補うべく、過去のビームテストの結果の再評価によるシミュレーション精度の向上を目指す。
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