研究概要 |
本研究では、光記録膜材料として極めて重要なカルコゲンと呼ばれる化合物(Ge-Sb-Te系物質)における、結晶-アモルファス間の相変化のフェムト秒~ピコ秒実時間の格子ダイナミクスを、ポンプ-プローブ法によるコヒーレントフォノン分光により解明することを目指している。また最終的には、フェムト秒光パルス列による結晶-アモルファス間の相変化制御の可能性を探る予定である。 本年度は、結晶状態のGeTe/Sb2Te3薄膜超格子試料におけるコヒーレントフォノン測定を、フェムト秒レーザー再生増幅器(RegA9000)の出力光(波長800 nm, パルス幅130 fs, 繰り返し100 kHz, 500 mW)を用いて行い、強励起光による1波長型でGeTe/Sb2Te3薄膜超格子試料におけるコヒーレントフォノンの観測に成功した。励起フルエンスの増加に伴い、結晶状態で3.68 THzにあったA1モードの周波数は低エネルギー側にシフトし、17.9 mJ/cm2で3.3 THzまでシフトした。しかし、アモルファス状態ではA1モードの周波数は3.83 THzであるため、これでは相変化が誘起できない。そこで、励起パルスをダブルパルスにして照射したところ、3.3 THzのピーク以外に、3.5 THzのピークが出現した。これは、一部がアモルファス化した可能性を示唆しているが、現在さらに詳細な実験・解析を進めているところである。
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