二種類の開殻π電子系物質(ドーピングしたπ共役系高分子およびバイラジカル分子化合物)の非線形光学応答を実験的に明らかにした。π共役系高分子においては化学ドーピングによりポーラロンが形成される。この状態を始状態としてポンププローブ分光を行った。ドーピングにより緩和時間が劇的に短くなることを明らかにした。さらに、ポンププローブスペクトルの測定から、化学的ドーピングによって生成されたポーラロンと光励起によって新たに作られた状態の相互作用を明らかにした。バイラジカル分子化合物においては、第三高調波発生法による測定から三次非線形感受率の増強を明らかにした。また、電場変調分光法により縮退した励起状態とそれに起因した非線形光学応答の増強のメカニズムを提唱した。
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