研究概要 |
有機分子材料においては、分子間相互作用が比較的弱いためにドメイン構造や配向が変化しやすい。従って、 有機太陽電池のバルクへテロ層では、自己組織的なナノ構造を形成していて、その構造が太陽電池特性と深い相関を持つ可能性がある。従って、2成分有機分子凝集系の有機太陽電池薄膜で見られる自己組織化ドメインの大きさや配向の様子などを捉えることは、重要である。 ドナー材料 (P3HT)とアクセプター材料と(PCBM)の溶媒の種類を変えて、スピンコート法によりガラス基板上に作製した有機太陽電池薄膜試料を用いた。CF(chloroform)溶媒と DCB(1,2-dichlorobenzene)溶媒による有機太陽電池薄膜を作製し、それぞれの薄膜試料のX線回折測定を行った。 その結果、CF溶媒サンプルの回折プロファイルは、線幅が広く、しかも、低角側で観測された。このことは、ユニットセルは大きいが、ドメイン成長が十分でないことを意味している。一方、DCB溶媒サンプルの回折プロファイルは、線幅が狭く、有機分子の直線方向の秩序化が発達し、πスタッキング構造が強まっていることが明らかになった。
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