研究課題/領域番号 |
22340097
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
遠山 貴巳 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (70237056)
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研究分担者 |
松枝 宏明 仙台高等専門学校, 総合科学科, 准教授 (20396518)
筒井 健二 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (80291011)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 物性理論 / 光物性 / 密度行列繰り込み群法 / 厳密対角化法 / 低次元強相関電子系 |
研究概要 |
本研究の目的は、計算物理学手法を駆使して各種先端スペクトロスコピーが与える情報を解明することで、低次元強相関電子系の示す多彩な量子現象の理解を目指すことにある。 1.格子系と結合したモット絶縁体の光励起状態の緩和ダイナミクスの解明:拡張ハバード模型の光励起後の系の状態の時間発展を動的密度行列繰り込み群法や厳密対角化法で計算し、光で誘起される電荷密度変調の起源について明らかにした。また、動的密度行列繰り込み群法を用いて三次非線形光学応答の計算に着手した。 2. 格子系と結合した低次元スピン系のスピン励起構造の解明:一次元J1-J2模型にフォノンによるJ1の変化を加えた模型を設定し、そのスピン励起構造に対する非磁性不純物の効果を動的密度行列繰り込み群法用いて調べ、スピンギャップ構造が不純物によって変化する様子を明らかにした。 3. 不均一系に対する共鳴非弾性X線散乱の理論構築と電荷励起の解明: 二次元多軌道ハバード模型を設定し、不純物とその周りの母体の共鳴非弾性X線散乱スペクトルを厳密対角化法で計算して、不純物系の電子状態を明らかにした。また、鉄化合物超伝導体や反強磁性金属であるクロムの共鳴非弾性X線散乱の理論を乱雑位相近似の範囲で計算し、実験に対する提案を行った。 4.時間分解角度分解光電子分光や時間分解ラマン散乱の理論構築と低次元強相関電子系の準粒子緩和プロセスの解明: 昨年度に引き続き、ポンプ光照射後の角度分解光電子分光スペクトル、ラマン散乱スペクトルさらに光学伝導度の時間依存性を厳密対角化法で計算するための手法の検討を行った。 5. 三角格子有機物質の磁気ラマン散乱スペクトル: 二次元三角格子を有する有機物質に対する磁気ラマン散乱スペクトルを、4スピン相互作用まで考慮した二次元三角格子ハイゼンベルグ模型に対して計算した。未公表の実験データと良い一致を示している結果を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4つの課題のうち、課題1~3に関しては順調に進展している。課題4に関しては、計算のための理論構築に対する困難が克服されていない。三角格子系の新しい課題にも取り組み始めており、全体としては、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
これまで同様に計画どおりに研究を推進していく予定だが、課題4に関しては、実際の計算を実行するためにはいろいろな角度からの検討が必要となっている。その他の課題に関しては、生成25年度が最終年度であることを考慮して、成果をまとめる方向で研究を推進していく。
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