研究課題
本研究の目的は、計算物理学手法を駆使して各種先端スペクトロスコピーが与える情報を解明することで、低次元強相関電子系の示す多彩な量子現象の理解を目指すことにある。1.格子系と結合したモット絶縁体の光励起状態の緩和ダイナミクスの解明:拡張ハバード模型に二重パルスを照射した際の振る舞いについて、厳密対角化法で計算し、第一パルスによって励起された状態が第二パルスによって基底状態に近づくことを示した。論文として発表。動的密度行列繰り込み群法を用いて三次非線形光学応答の計算を行い、論文作成中である。2. 格子系と結合した低次元スピン系のスピン励起構造の解明:ダイマー化した一次元J1-J2模型のスピン励起構造に対する非磁性不純物の効果を動的密度行列繰り込み群法で調べ、実験との対比を行った。現在、論文作成中。3. 不均一系に対する共鳴非弾性X線散乱の理論構築と電荷励起の解明: 昨年に引き続き、二次元多軌道ハバード模型の不純物とその周りの母体の共鳴非弾性X線散乱スペクトルを厳密対角化法で計算して、不純物系の電子状態を明らかにした。また、均一系に対しては、銅酸化物高温超伝導体の銅L吸収端の共鳴非弾性X線散乱スペクトルをスタンフォード大学と共同で研究し、そのドーピング依存性の特徴を明らかにした。Nature Communications誌に掲載された。4.時間分解角度分解光電子分光や時間分解ラマン散乱の理論構築と低次元強相関電子系の準粒子緩和プロセスの解明: 昨年度に引き続き、ポンプ光照射後の角度分解光電子分光スペクトル、光学伝導度等のさらにの時間依存性を厳密対角化法で計算するための手法の検討を行った。5. 三角格子有機物質の磁気ラマン散乱スペクトル: 昨年度実施した、二次元三角格子を有する有機物質に対する磁気ラマン散乱スペクトル計算を実験グループの結果と比較し、論文としてまとめた。現在印刷中。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (15件) (うち招待講演 9件)
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