研究課題/領域番号 |
22340101
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大道 英二 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (00323634)
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キーワード | カンチレバー / 磁気共鳴力顕微鏡 / テラヘルツ / 電子スピン共鳴 |
研究概要 |
今年度は、高感度検出に向けた信号変調技術の開発と光ファイバー光学系を用いた微小変位技術の構築を行った。前者については、以前から問題となっていたカンチレバーのスプリアス振動を抑制する手法として、2重変調法と周波数変調法の導入を行った。2重変調法では磁場と光源の強度を別々の周波数で変調し、磁化の変調成分のみを有効に取り出せる方法である。この方法により、従来と同程度のスピン感度を持ちつつ大幅にスプリアス振動の抑制を行うことに成功した。また、周波数変調検出の装置を立ち上げ、周波数検出によるESR信号の検出を可能にした。これにより、微小なスピン由来の信号検出が可能になった。また、光ファイバーを用いたFabry-Perot干渉計によりカンチレバーの微小変位を検出する技術を完成させた。これによりpNオーダーの力検出が可能になった。これだけの感度を実現するために、波長可変レーザー、ファイバー位置決めピエゾスライダーなど様々な装置を自作、導入した。この技術は非常に汎用性が高く、高分解能ESR測定に置いては中核を担う技術の一つである。 また、カンチレバーの自作を行う上で必要となる陽極接合装置、両面マスクアラインメント装置を自作した。これにより、カンチレバー作製からパッケージングまでの全ての工程が、我々の研究室内で行えるようになった。これにより、超高感度のESR信号検出を行う上で必要となるカンチレバー最適化の実証段階まで到達することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
測定プローブの作製、信号検出技術の高感度化、光学検出系の整備など個々の要素技術については順調に開発が進んでいる。残りの研究期間で各々の技術を集積化、機能化させることにより、目的とした高分解能ESR測定を可能にする段階へと来ている。
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今後の研究の推進方策 |
個々の完成した要素技術を組み合せ、高分解能ESR測定装置をシステム化する方向で研究を進める。標準試料を用いて計測システム全体の動作特性を評価し、装置の不具合等があれば修正を加える。また、ハード面のみならず、計測ソフトの開発などソフト面からの開発も進める。
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