研究課題/領域番号 |
22340103
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
島田 賢也 広島大学, 放射光科学研究センター, 教授 (10284225)
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研究分担者 |
谷口 雅樹 広島大学, 理学研究科, 教授 (10126120)
生天目 博文 広島大学, 放射光科学研究センター, 教授 (10218050)
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キーワード | 角度分解光電子分光 / 電子帯構造 / フェルミ面 / 多体相互作用 / 準粒子 |
研究概要 |
本年度は、測定試料表面の定量評価システムの構築、高分解能角度分解光電子分光(ARPES)で得られたスペクトル形状の定量解析手法の検討、直線偏光依存高分解能ARPESによる強相関電子系の電子状態の研究を行なった。主な実績は下記の通り。 (1)高速電子線回折(RHEED)装置、高速画像処理システム、低速電子線回折(LEED)解析システムを導入し、単結晶試料表面の構造を評価できるようにした。 (2)鉄、パラジウム、アルミニウム単結晶試料に対して、フェルミ準位近傍の電子状態(フェルミ面構造、バンド分散)を高分解能ARPESで精密に観測した。従来から行なわれてきたスペクトル形状の定量評価方法を再検討し、運動量分布関数、エネルギー分布関数の有効領域について新たな知見が得られた。またARPESスペクトルの定量解析から電子-格子、電子-電子相互作用の結合パラメータを評価した。 (3)直線偏光依存高分解能ARPESにより、始状態波動関数の対称性を指定して、ルテニウム酸化物超伝導体の電子構造を解明した。超伝導発現に重要なクーパー対の形成において電子-格子相互作用が重要役割を果たしていることを明らかにした。 (4)直線偏光依存高分解能ARPESより、鉄系超伝導体BaFe_<1.85>Co_<0.15>As_2の電子構造を精密決定し、新型トポロジカル絶縁体TlBiSe_2の電子構造を解明した。 (5)フェルミ準位近傍の準粒子に働く多体相互作用の研究という内容で、ポーランドで開催された放射光利用に関する国際学校・シンポジウムで招待講演を行ない、バンクーバーで開催された真空紫外・X線物理に関する国際会議で口頭発表を行なった。
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