研究概要 |
桂,川島,Kirillov, Korepin,田中は,AKLT状態について,エンタングルメントエントロピーを評価した.AKTL状態は量子ゆらぎのために秩序が抑制されたために生じる無秩序量子状態のひとつであり,量子効果が磁性体に本質的な影響を及ぼす典型例として知られている.また,エンタングルメントエントロピーは一般的には漠然と量子揺らぎと呼び習わされているものを定量的に表現した量であって,われわれの研究によって,AKLT状態のエンタングルメントエントロピーのシステムサイズ依存性が明らかになった.また,鈴木,富田,川島は,S=1/2のシャストリサザランド格子上の磁性体の量子モンテカルロシミュレーションを行い,DmB4などの物質で実験的に観測されている特徴的な磁化曲線の様相を明らかにした.とくに,飽和磁化のちょうど半分のところでスピン配列が安定化する「1/2プラトー」現象は,この系における長距離相互作用の結果であることを明らかにした.さらに,紙屋,川島,Batistaは,準2次元磁性体で,面間相互作用にフラストレーションのある場合,見かけ上の3次元磁性体としての振る舞いにかかわらず,実はそれらの物質で観測される臨界現象が非常に弱い一次転移である可能性を数値計算と繰り込み群による計算の両方のアプローチによって明らかにした.
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