• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2010 年度 実績報告書

低温蒸着法による単純分子ガラスの創成とその熱力学・構造学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22340119
研究機関東京大学

研究代表者

山室 修  東京大学, 物性研究所, 准教授 (20200777)

研究分担者 古府 麻衣子  東京大学, 助教 (70549568)
キーワード化学物理 / 物性実験 / X線回折 / 熱容量 / 蒸着法 / ガラス転移 / 低エネルギー励起 / 残余エントロピー
研究概要

最初に、以下に示す蒸着試料用断熱型熱量計の改造を行った。(1)蒸着チューブからの輻射熱を減らすため直径を8mmφから2mmφにした。(2)蒸着チューブを冷えやすいように熱交換ワイヤーをつけた。(3)蒸着チューブの上下可動範囲を大きくした。以上の改造により、10Kで蒸着を行い(改造前は25K)、4K程度から熱容量測定ができるようになった(改造前は8K)。また、精密蒸着ラインを製作した。このラインには、2つの微少流量用メータリングバルブと2つの高精度バラトロン圧力計が設置されており、0.1Paの蒸着圧力精度で非常に精密に蒸着ができるようになった。以上に示した装置を用い、通常の液体急冷ではガラス化しない単純分子であるプロペンとプロパンのガラス状態の作成に成功した。両試料の熱容量測定において、ガラス特有の低エネルギー励起(ボゾンピーク)とガラス転移を観測した。プロペンとプロパンのガラス転移温度はそれぞれ56Kと46Kであった。46Kはこれまでに測定された分子ガラスのうち、最も低いガラス転移温度である。また、プロペンガラスの残余エントロピーは6J/K/molと非常に低く、ガラスにおいても短・中距離的な秩序化がかなり進んでいることが明らかになった。その他、これまで測定した分子ガラスと併せて解析することにより、過冷却液体の過剰熱容量のスケーリングなど、興味深い結果が得られた。上記の熱容量測定と平行して、既設のX線回折装置の蒸着オプションの製作、基礎データ測定に必要な粘弾性測定装置の機種選定と購入なども進めた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010 その他

すべて 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 低温蒸着法を用いた単純分子ガラスの作成と熱容量測定III2010

    • 著者名/発表者名
      辰己創一, 山室修
    • 学会等名
      日本物理学会2010秋季大会
    • 発表場所
      大阪府立大学
    • 年月日
      2010-09-25
  • [学会発表] Construction of an adiabatic calorimeter for vapor-deposited samples and a study on glass transitions of simple molecules2010

    • 著者名/発表者名
      S.Tatsumi, S.Aso, Y.Moriya, D.Hosaka, O.Yamamuro
    • 学会等名
      International Conference on Chemical Thermodyn amics (ICCT-2010)
    • 発表場所
      茨城県つくば市 つくば国際会議場
    • 年月日
      2010-08-03
  • [学会発表] Calorimetric and neutron scattering studies on vapor-deposited simple molecular glasses2010

    • 著者名/発表者名
      O.Yamamuro, et al.
    • 学会等名
      International Conference on Chemical Thermodyn amics (ICCT-2010)
    • 発表場所
      茨城県つくば市 つくば国際会議場
    • 年月日
      2010-08-02
  • [備考]

    • URL

      http://yamamuro.issp.u-tokyo.ac.jp/

URL: 

公開日: 2012-07-19  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi