研究課題/領域番号 |
22340119
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山室 修 東京大学, 物性研究所, 准教授 (20200777)
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研究分担者 |
古府 麻衣子 東京大学, 物性研究所, 助教 (70549568)
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キーワード | 化学物理 / 物性実験 / 熱容量 / X線回折 / 蒸着法 / ガラス転移 / 低エネルギー励起 |
研究概要 |
H22年度に改良を加えた蒸着試料用断熱型熱量計を用い、通常の液体急冷ではガラス化しない単純分子であるプロパン(C3-CH2-CH3)のガラス状態、過冷却液体、結晶の熱容量を測定した。ガラス状態ではガラス特有の低エネルギー励起が観測された。この強度や温度範囲はプロペン(CH3-CH=CH2)とほぼ同じであった。プロパンガラスで最も興味深いのは、これまでのガラス形成液体と比べて、過冷却液体のC原子1個当たり配置熱容量Ccが顕著に小さいことである。このことは同じC原子数のプロペンと比べると明瞭で、ガラス転移温度におけるプロパンのCcはプロペンのCcの約70%であった。これは、プロパンが秩序構造を形成しやすい液体であることを示しているが、その理由は全く分からない。今後、計算機シミュレーションや理論研究との連携が必要である。 上記の熱容量測定と平行して、X線回折装置の蒸着オプションの製作を行った。このオプションでは、先端に多孔性の燒結金属を取り付けた蒸着チューブが試料ホルダーの1cm程度上方に位置するようになっている。このチューブは、蒸着時にはチューブ内で気体が凝縮しないように任意の温度に制御することができ、蒸着後はX線が当たらないようさらに上方に移動できるようになっている。 アモルファス氷などを対象にしたテスト実験を行い、この装置により5K程度の温度で蒸着実験が可能であること、通常の試料と同様の回折データを取得できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた蒸着用熱量計の改良が終了し、四塩化炭素、プロペン、プロパンと順調にデータが蓄積されている。また、X線回折装置でも蒸着実験が可能になった。結果に対する考察はまだこれからだが、順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
熱量計で得られた結果の解析を深めるとともに、できるだけ早く論文発表を行いたい。また、X線回折では、早く蒸着実験を開始したい。
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