研究概要 |
新たに開発したボアホールアンテナをH22年に南アフリカの地下1000mの金鉱山に設置して微小地震に伴う電位変動の観測を開始した.H23年には、さらにボアホール磁力計を作成し同鉱山内に設置し,磁場変動の観測も開始した.磁場のビオサバール項は電場成分に比べて地殻伝播中の減衰の影響が小さいため,電場変動が検出されない場合でも磁場変動が検出される可能性がある,National Instruments PXIシステムにより,10kHzサンプリングでの連続測定,およびAE信号をトリガーにしたプレトリガー方式での高速サンプリングでの測定を行っている.観測域の大部分が珪岩である.我々は室内実験において,水に飽和した花簡岩でAEが発生する時に石英の圧電効果などにより電位変化が測定されることを示してきたが、石英の結晶軸の向きがランダムな場合,実験室での結果をどのように微小地震のスケールまで拡張できるかはよくわかっていなかった.ランダムな方向を持つベクトルの和の大きさは一般にその個数のルートに比例することが理論的に予測できたので,圧電効果の強さは破壊域の体積のルートに比例すると仮定して実験結果を外挿し、ノイズレベル10mVを超える電位変動をもたらすマグニチュード,震源距離についての条件を求めた.今までのところ,この条件を満たす地震は発生していない.一方、電場,磁場ともに地震波到達時の変動は数多く観測された.アンテナから90mほど離れたサイトに設置してある地震計記録(速度),及びそれを積分して得られる変位波形と比べると,電場変動は速度波形に似ているようである.地震波が透過したときに、圧電効果によって周囲の岩石の歪みに比例した電位変化が生じた可能性もある. 【連携研究者】地震研究所中谷 正生,上嶋誠
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