研究課題
本年度は、主として惑星リングの粘性に関する多体問題軌道数値計算、及び惑星重力による小天体一時捕獲過程に関する軌道数値計算を行なった。まず、土星リングの構造形成や力学進化を考えるうえで、リングの粘性は基本的な物理量である。従来の研究ではリング自己重力の効果ならびに粒子自転・表面摩擦の効果が粘性に及ぼす影響が個別に調べられていたが、両方の効果を同時に考慮した場合については調べられていなかった。本研究では、粒子同士の衝突、重力相互作用、自転・表面摩擦を考慮した多体問題軌道数値計算により粘性を数値的に求めた。その結果、粒子の空間数密度が低い場合には表面摩擦の効果により粘性が小さくなること、粒子の空間密度が高い場合にはリングの自己重力の効果が支配的となるため表面摩擦の効果は効かないこと、などが明らかになった。次に、惑星の重力による、小天体の一時捕獲過程について、三体問題軌道数値計算を用いて詳細に調べた。従来の研究では惑星近傍の軌道安定性のみを調べたものが多いが、そのような手法では一時捕獲の頻度を求めることはできない。また太陽の周りの軌道から計算を始めて一時捕獲頻度を求めたものがあるが、初期に円軌道であると仮定しており、初期に離心率がある軌道からの捕獲過程は詳しく調べられていなかった。そこで本研究では初期に楕円軌道であることを考慮して多数の軌道の数値積分を行うことにより、一時捕獲の頻度ならびに捕獲軌道の性質について詳細に調べた。その結果、一時捕獲確率が離心率に依存すること、離心率の値によって捕獲軌道の形状が大きく異なること、などが明らかになった。
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Lunar and Planetary Science Conference XLII, LPI Contribution No.1608
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Icarus
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