研究概要 |
スラブ沈み込みモデルの構築に関しては、2次元箱型のスラブ沈み込みモデルを用いて、西南日本において、Hi-netの観測井、ボアホール、ヒートプローブ、BSRによって観測された地殻熱流量の分布を説明できるモデルを構築した。モデル化にあたっては、間隙水圧比を用いたプレート上面での摩擦熱を導入し、第4紀の地表の隆起量から計算した侵食速度から地表の削剥の影響を考慮した。その結果、陸域の高い地殻熱流量を説明するた釧こは、間隙水圧比が0.9~0.95でなければならないという結果を得、これまでよく知られていなかったプレート境界での間隙水圧比の値に制限を与えることができた。また、紀伊半島では、このようなモデルでも観測された高い地殻熱流量を説明することはできず、地殻内の流体移動の可能性があることを示した。また,3次元スラブ沈み込みモデルの開発にも着手し、プレートの沈み込みに伴う温度と流れのテスト計算を行い、温度場や地殻熱流量の計算や描画を可能にした。 また、地震波波形解析に関しては、地震波減衰構造を精度よく推定するために手法の改良を行った。従来の方法では、地震のコーナー周波数(た)と波線平均の減衰をあらわす七会を同時に推定していたが、減衰構造の解の空間分解能および信頼性をより向上させるために、スペクトル比法を用いて丘を決定し、次いで、その血を用いてt☆を推定するという逐次的な解析方法を開発した。また、関東地方下の詳細な三次元地震波速度構造を推定し、フィリピン海スラブ内の蛇紋岩化領域の広がりを明らかにした。
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