研究課題/領域番号 |
22340126
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
吉岡 祥一 神戸大学, 学内共同利用施設等, 教授 (20222391)
|
研究分担者 |
中島 淳一 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30361067)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 熱対流計算 / 地殻熱流量 / 地震波速度構造 / スラブ内地震 / 太平洋プレート |
研究概要 |
2次元スラブ沈み込みモデルを用いて、関東下でフィリピン海プレート、太平洋プレートの沈み込みに伴う流れと温度分布の数値シミュレーションを行った。地殻熱流量のデータと太平洋プレート上面の地震活動を説明する温度分布、脱水過程のモデル化に成功し、フィリピン海プレート上面の温度分布、太平洋プレート上面の温度分布とMORBの脱水の分布を求め、テクトニクスと絡めて議論した。 また、任意のスラブ形状が扱える3次元箱型熱対流スラブ沈み込みモデルを開発した。平面、円錐、円柱、反円錐、反円柱のスラブ形状モデルを構築し、海溝軸に直交する方向と斜め方向にスラブが沈み込む場合で、温度場・流れ場・地殻熱流量を計算し、スラブ形状との関係を調べた。その結果、斜め沈み込みの場合、スラブ形状が対称でも温度場・地殻熱流量は対称とならず、スラブの下傾斜側で温度場・地殻熱流量が低くなることを示した。 太平洋プレート内の二重深発地震面上面で発生する地震に含まれるPS変換の到着時刻を用いてインバージョンを行い、海洋性地殻の詳細な速度分布を推定した。得られた結果は、前弧側の海洋性地殻の速度は、含水鉱物を含む海洋玄武岩モデルから期待される速度よりも10%以上遅いことを示しており、前弧側の地殻には脱水反応で生成された水がトラップされていることを示唆している。さらに、速度が遅い領域で地殻内地震が主として発生していることも明らかになった。 2011年東北地方太平洋沖地震の役8ヶ月後に、関東下のフィリピン海プレート内で発生した地震活動を詳細に検討した結果、震源が6ヶ月間に約6km移動したこと、同一断層面の隣り合うパッチを破壊した地震が含まれることなどが明らかになった。地震活動域の直下に沈み込む太平洋プレートから供給された高間隙水圧が断層の強度を低下させ、地震を発生させたと考えると、これらの観測事実をうまく説明することができる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画した通り、着実に研究を進めているため。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでは予定通り研究が進行しているので、今後もこれまで通りのペースで研究を進めていく予定である。
|