研究課題
Site U1331,U1332のコアから採取された約100本のu-channel試料について、1cm間隔で磁化率測定、自然残留磁化(NRM)測定と段階交流消磁,非理歴性残留磁化(ARM),等温残留磁化(IRM)の着磁とそれらの段階交流消磁を行った。NRMの段階交流消磁の結果、掘削時に獲得される二次的磁化は、20mT程度の交流消磁で除去できることが判明した。得られた古地磁気方位から、船上での半割コアを用いた予察的な測定で得られていた始新世~漸新世の古地磁気層序を精密化することができた。次に、NRM強度をIRM強度で規格化することにより、規格化残留磁化強度を求めた。規格化残留磁化強度を相対古地磁気強度と解釈するためには、地磁気のレコーダーである堆積物の磁気的特性が均質であることが要求される。堆積物に含まれる磁性鉱物間の磁気相互作用の強さを示すパラメータであるARM/IRM比から、堆積物コアを磁気的に均質な年代区間に区分し、各区間内において、規格化残留磁化強度の変化を相対古地磁気強度変動と解釈した。このうち、28~34Maの区間についてSite U1331, U1332の変動曲線を比較したところ、数万年~数十万年のスケールの変動がよく一致した。Site U1331のコアではタービダイトが含まれているが、タービダイトではNRM強度が小さく、規格化残留磁化強度が周囲より著しく小さくなることから判定可能であり、これを除去することによりサイト間で整合的な相対古地磁気強度変動が得られた。今後さらに詳しく堆積物の磁気的特性の変化が相対古地磁気強度推定に与える影響を検討しなければならないが、サイト間で整合的な結果が得られたことは、これが真の地磁気変動を表している可能性を示している。
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