研究概要 |
本研究では、浅間山、阿蘇山における3年間の連続及び繰り返し観測により火山活動の長期的な推移や活動様式の変化に伴う火山ガス放出量・組成の長期変動パターンを見いだし、変動要因を明らかにすると共に噴火発生過程との相関を明らかにすることを目指す。浅間山は平均的には二年に一回程度活動が活発化し、浅部岩脈状マグマ溜まりの膨張と噴煙活動活発化および噴火発生の相関が観測されている。そのため浅間山において、3年間の観測を行うことにより変動パターンの検出が期待される。 平成22年度には、連続噴煙組成観測装置を作成し、浅間山山頂火口縁の二カ所に設置し観測を開始した。本装置は毎日定時に外気を吸引し、その中のH2O,CO2,SO2,H2S及びH2濃度を測定することにより、火山ガス組成の推定を行うための装置である。観測装置は東京大学地震研究所の火山観測用施設内に設置され、LANを通じてデータを随時取得できる。現在までに、降雪等による電源供給不足等の場合を除き、継続的なデータの取得が確認されている。今後、データの評価のためには、観測に用いたガスセンサー類の感度等の長期変動に関する評価・校正を行うことが必要であり、これらの評価の後に得られたデータから火山ガス組成変動に関する評価を行う計画である。阿蘇山において、携帯型のMulti-GAS(多成分センサーを用いた噴煙観測装置)およびアルカリフィルターによる繰り返し観測を実施し、阿蘇山の火山ガス放出活動の評価を行い、その結果に基づき地下の熱水系における高温噴気と火口湖から放出される火口湖ガスの分別過程のモデル化を行った。爆発の発生と火山ガス組成変動の相関を評価するために、バヌアツ、ヤスール火山においてMulti-GASを用いた火山ガス組成変動、火山ガス放出量変動と空振の同時観測を実施した。
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