研究課題
本研究課題の目的は、人工衛星を使用した氷雲と水雲の観測データを解析し、雲微物理特性を全球で抽出し、雲の生成メカニズムを明らかにすることである。衛星データは、CloudSat/CALIPSO/MODIS/AIRSを使用する。CloudSatは雲レーダを、CALIPSOはライダを、MODISは受動型イメージャーを、AIRSは赤外サウンダーをそれぞれ搭載している。CloudSat/CALIPSOからは雲の鉛直方向の雲の出現高度の特定、雲粒子タイプ(水粒子、3次元ランダムに配向する氷粒子、水平面に配向する板状氷粒子)、雲粒子の微物理特性を抽出する。本年度は、CloudSatとCALIPSOを用いた雲域抽出手法、雲粒子タイプ識別(水粒子、3次元ランダムに配向する氷粒子と水平面に配向する板状氷粒子の識別)、氷粒子微物理特性(有効半径、雲水量・雲氷量、個数密度)の解析手法を開発した。これらを2006年3ヶ月間の全球の衛星データに適用した。この結果、これまで標準プロダクトとして提供されてきたNASA-LangleyのCALIPSOチームによるCALIPSOから導出したものは、下層雲を大きく過大評価していること、上層雲もやや過大評価することが判明した(Hagihara et al. 2010 JGR)。この要因は、ノイズやエアロゾルの雲への誤判定が大きな要因である。雲粒子タイプ識別手法として、やはりCALIPSOを用いたものを開発したが、雲の鉛直方向に解像した雲粒子タイプの識別が可能になったと考えられる(Yoshida et al. 2010 JGR)。現在、この結果を利用して、CloudSatのみで観測される雲域についても粒子識別手法の開発を行っている。有効半径や氷水量といった雲微物理特性の導出を可能にするアルゴリズムを開発した。CloudSatとCALIPSOで同時に見えている雲域に関して適用可能なものを開発し、それを上記の3ヶ月のデータに適用した(Okamoto et al., 2010 JGR)。アルゴリズムの精度を感度実験を実施して確定した。氷粒子モデルの非球形性が最大の不確定性要因であること、多重散乱の効果が次に大きい要因であることが判明した。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 14件) 学会発表 (7件)
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