研究課題
重力波特性を正確に表現するパラメタリゼーションの開発に必要な束縛条件を与えるための重力波の直接効果、間接効果の具体的かつ定量的描像を、高解像大循環モデル(GCM)、高解像衛星観測、化学気候モデル(CCM)等の大量データを駆使し、解明することを目的として、今年度は特に以下の研究を行った。1.高解像大気大循環モデルシミュレーションデータを用いた重力波運動量フラックスの解析新たな重力波運動量フラックス推定方法を考案し、高解像モデルデータに適用してその限界を明らかにした。鉛直方向に分解すると単色の仮定がほぼ担保出来るが、分解しなくても30%の誤差範囲で運動量フラックスの推定が可能であることがわかった。2.極成層圏雲生成への重力波の寄与衛星GPS掩蔽観測データ、衛星搭載のライダー観測データ、衛星による水蒸気・硝酸観測データ、再解析気候データを用いて、ロスビー波、総観規模波、重力波に伴う温度擾乱の極成層圏雲量への寄与を定量的に推定し、その力学メカニズムを明らかにした。両半球いずれについてもロスビー波の寄与が最大であった。南半球では、成層圏下端の低緯度側で総観規模波が、高緯度側で重力波が大きく寄与していた。3.化学気候モデルによる21世紀予測実験データを用いた重力波の地球気候への作用の解明重力波ドラッグが物質循環の形や強さに与える影響を、変形オイラー平均方程式系の残差子午面循環や、ダウンワードコントロール理論を駆使して重力波と他の波を切り分けて解析したところ、特に冬循環の夏半球側上昇流に大きく寄与するという新しい知見が得られた。研究成果はアメリカ地球物理学連合の年会やChapman会議で発表した。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (31件)
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