研究課題
重力波特性を正確に表現するパラメタリゼーションの開発に必要な束縛条件を与えるための重力波の直接効果、間接効果の具体的かつ定量的描像を、高解像度大気大循環モデル、高解像衛星観測、化学気候モデル等の大量データを駆使し、解明することを目的として、今年度は特に次の研究を行った。1.高解像度大気大循環モデルによるシミュレーションにおいて現れた成層圏突然昇温現象の詳しい解析を行い、その形成過程と消滅過程におけるプラネタリー波(ロスビー波)と重力波の役割を定量的に解明した。特に、消滅期(西風回復期)は2期に分けられ、初期においては中間圏における惑星規模不安定波の寄与が大きく、後期においては放射だけでなく重力波による加速が効いている可能性があることなど新しい事実が明らかとなった。2.高解像度大気大循環モデルデータを用いて、南半球重力波の季節変化や水平分布を明らかにし、理論的な考察を行なった。その結果、水平鉛直2次元理論においては、水平に伝播しないとされる地形性重力波が3次元場においては、波数ベクトルに直交方向の平均流によって移流される効果が大きいこと、冬季極域成層圏中部に存在する安定度の不連続性により内部反射が起きることなどが明らかとなった。3.地球回転の水平成分に起因するコリオリ力を考慮した沿岸捕捉波の特性を理論的に明らかにした。その結果、通常のケルビン波とは逆向きに伝播する捕捉波があること、地面付近に捕捉されるロスビー波があることなどがわかった。4.国際宇宙科学研究所の重力波チームの研究活動において、衛星観測や重力波パラメタリゼーションを含む気候モデル、重力波解像大循環モデルによる重力波の全球分布の比較解析を行った。その結果、夏半球極域において、現在のパラメタリゼーションは重力波の振幅が強すぎることが明らかとなった。以上の研究はいずれも国際学術誌に発表した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (28件) (うち招待講演 1件)
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