研究課題/領域番号 |
22340140
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
和方 吉信 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (90201871)
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研究分担者 |
尹 宗煥 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (80111459)
吉川 裕 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (40346854)
遠藤 貴洋 九州大学, 応用力学研究所, 学術研究員 (10422362)
吉村 浩 長崎大学, 水産学部, 教授 (40108353)
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キーワード | 海洋乱流 / ADCP / 乱流微細構造プロファイラー / LES / 海洋混合層モデル / 海表面水温偏差 / 乱流クロージャモデル / 台風 |
研究概要 |
長崎大学長崎丸により2010年7月18日~24日の間、東シナ海陸棚上海底に5ビーム付ADCPを設置し、流速の鉛直構造の観測を行った。同時に、乱流微細構造プロファイラーによる観測も同19日~20日行い、水深約10mから海底直上までに至る乱流運動エネルギー散逸率の鉛直プロファイルを1時間おきに測定することができた。しかし、ADCPシステムの不具合により十分な流速データは取得できなかった。そのため、長崎丸により2010年10月5日~14日の間、長崎県沿岸域の海底に5ビーム付ADCPを設置し、流速の鉛直構造の再観測を行った。この結果、5ビームADCPを用いて良好なデータを取得できた。海底境界付近の乱流混合強度を表す鉛直渦粘性係数を、流速の鉛直構造の観測値から推定する手法について検討した。従来用いられた手法に加え、新たに二つの手法を考案し、その特性や誤差依存性を調べた。その結果、新たに考案した手法は計測誤差の影響が小さく、より良い推定値を与えることを確認した。 LES乱流数値計算では8方位の地衡流に対しそれぞれ海底境界層の厚さを調べた。その結果西向きの流れが最も厚く、最も薄い東向きの流れに対し約2倍の海底境界層の厚さになることを示した。同時に、海底境界層流の線形固有値問題による安定性解析を行ったところ、境界層の鉛直シアーと地球回転軸の水平成分によるコリオリ力の影響により西向流が最も不安定であり、LESの数値計算の結果に不安定解によく似た筋状擾乱が海底近傍にあることを示した。 乱流の大規模循環への応用では、大気境界層の乱流クロージャーモデル(Nakanishi and Niino, 2009)を適用した海洋混合層モデル(NNモデル)を日本海海洋循環モデルに組み込み、そのパフォーマンスを調べるための予備実験を行った。2003年9月12日~14日に日本海を通過した台風による海表面水温の低下について、モデルと衛星データとの比較を行った。その結果、海表面水温偏差(通過後-通過前)の水平パターンは概ね類似しているが、台風通過後のモデルの海表面水温の低下が衛星データと比べて1/3程度であること分かり、現在モデルのチューニング行っている。
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