研究課題/領域番号 |
22340140
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
和方 吉信 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (90201871)
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研究分担者 |
尹 宗煥 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (80111459)
吉川 裕 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (40346854)
遠藤 貴洋 九州大学, 応用力学研究所, 学術研究員 (10422362)
吉村 浩 長崎大学, 水産学部, 教授 (40108353)
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キーワード | 海洋乱流 / ADCP / 乱流微細構造プロファイラー / LES / 海洋混合層モデル / 海表面水温偏差 / 乱流クロージャモデル / 台風 |
研究概要 |
長崎大学・長崎丸により、済州島南西沖の水深約68mの陸棚上に5ビームADCPを設置して、2011年7月16日~21日の約5日間にわたり流速の鉛直構造を計測した。さらに、このADCPの直上で7月17日~19日の約1日半にかけて、乱流微細構造プロファイラーを用いて、乱流運動エネルギー散逸率を約1時間おきに計測した。流速データを調和解析して、散逸率の時間変動と比較した結果、55m以深の海底近傍においては、半日周潮の流速シアーに伴う1/4日周期の時間変動が卓越しているのに対して、深度35~55mでは、日周潮、慣性振動、平均流の流速シアーの重ね合わせによる1日周期の時間変動が卓越していた。これらの流速は小さくとも、生成される乱流運動も無視できない可能性が示された。LES数値実験により、これらの観測点の環境場を想定した半日周潮の数値実験を行った。この結果も、地球回転や成層の影響により、エネルギー散逸率などは海底近傍に集中しており海面起源の影響の可能性を示唆する。LESによる理想実験として地球回転ベクトル水平成分の潮汐振動への影響を調べた。その結果、鉛直渦粘性係数が潮汐流の流向の変化に伴い大きく変動することがわかった。 海洋混合層モデルの中西・新野モデル(NNM)、Mellor and Yamadaモデル(MYM)およびNoh and Kimモデル(NKM)を海洋循環モデルに組み込み、そのパフォーマンスを調べた。2003年9月12日~14日に日本海を通過した台風による海面水温の低下は、NNMはMYMに比べて、明らかによく再現しているが、衛星データと比べると若干高温となる傾向がある。しかし、1時間ごとの気象条件データを使うことにより、22年度に比べて表面水温の再現性が大幅に向上した。また、NKMを組み込んだモデルとの比較も行ったが、NNとの顕著な違いは見られないので今後その理由の解明も行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、測器不調から十分なデータがとれなかったが、今年度は東シナ海で行った観測から、当初予定していた期間のデータを採取することができた。
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今後の研究の推進方策 |
予定していた観測は本年度で終了したので、これからは、得られたデータから潮汐流の構造解析や、派生パラメータの推定を行うと供に、その推定手法の開発を行う。LES数値計算では、モデル内のパラメータを調整しながら、可能な限り観測に近い結果の再現を行い、その変動の物理過程について調べる。海洋大循環モデルでは、種々の乱流モデルの特性やその妥当性について検討していく。
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