研究課題/領域番号 |
22340140
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
和方 吉信 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (90201871)
|
研究分担者 |
遠藤 貴洋 九州大学, 応用力学研究所, 学術研究員 (10422362)
吉川 裕 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (40346854)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 海洋乱流 / ADCP / 乱流微細構造プロファイラー / LES / 海洋混合層モデル / 海表面水温偏差 / 乱流クロージャモデル / 台風 |
研究概要 |
平成23年度までに得られた、5ビームADCPと乱流微細構造プロファイラーによる時系列観測データを解析し、これまで沿岸域でしか観測されてこなかった、成層の周期的な変動が海底境界層内にも存在していることが初めて確認された。この成層の周期的な変動に伴って潮汐流の安定度が変化した結果、乱流運動エネルギー散逸率の変動が、海底境界層上部では日周期、下部では1/4日周期の変動が卓越していたことが明らかとなった。さらに、乱流運動エネルギー散逸率の日周期変動が、海底境界層直上に存在するクロロフィル極大層への高濁度水の巻き上げを担っていることも示された。 次に、東シナ海で計測されたADCP測流結果を解析し、海底付近での混合を引き起こす潮流の特性について調べた。また東シナ海の同化数値実験で算出された調和定数の補正係数を求めた。さらに、補正後潮流を用いて計測流を除潮し平均流の空間・季節変化を求め、太平洋から東シナ海への海水輸送を議論した。 潮流に関する理論研究の一環として、東シナ海など海底が平坦で浅海の海域に見られる潮汐流ホドグラフの海底近傍における楕円形状特性について、理論とLES数値モデルから考察した。 潮汐振動解の海底近傍極限解を調べる事により、潮流楕円の長軸方向と扁平率の海底に近づくにつれての変化特性について、地球の回転速度と潮流の回転速度から普遍的に説明できることがわかかった。そしてLES数値計算からその妥当性も検証した。また、LES数値計算結果の解析から、非慣用コリオリ力の影響により日本近傍では日周潮は潮流が西を向くとき、半日周潮は潮流が北を向くとき、海底近傍に乱流が活発に発達することがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の初年度の観測では測器の不調で旨くデータがとれなかったが、予備に予定していた次年度の観測でデータがとれ、本年度3年目に入り、得られたデータ解析と観測に対応する乱流数値計算をおこなっており、おおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
当初に予定した海洋観測は終了し、ほぼ予定したデータを得られた。しかし、計測には幾分の誤差があり、その改良方法もわかってきた。そこで、当初予定していなかったが、最終年度に計測機のソフトを一部変更し、精度向上を目指し再度海洋観測を試みる。また、LES乱流数値計算では、計算機環境が充実してきたので計算時間を短縮でき、成層、速度、緯度などを変更した多くの事例を計算できるようなっており、最終年度海洋乱流の普遍的な特性の解明を目指して研究を継続する。これまでの研究から乱流発達には非慣 用コリオリ力の重要性が分かってきた。この効果を考慮したパラメタリゼーションの導出を試みる。さらに、これ まで行ってきた海底乱流のみではなく、海表面近傍の乱流についても、その乱流特性の解明を行う。
|