研究課題/領域番号 |
22340142
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
笠羽 康正 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10295529)
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研究分担者 |
中川 広務 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (30463772)
村田 功 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 准教授 (00291245)
坂野井 健 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (80271857)
岡野 章一 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10004483)
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キーワード | 赤外分光観測 / サブミリ波分光観測 / Mars Express探査機 / Venus Express探査機 / 大気大循環数値モデル / 火星大気 / 金星大気 / 赤外線分光器開発 |
研究概要 |
(1)地上・探査機観測と数値モデルによる金星・火星大気のダイナミクス・組成変動の探求 A-1.赤外・サブミリ波の地上分光観測: ハワイSUBARU 8m望遠鏡にて、火星大気CH_4観測を2011年11月・2012年1月に実施し成功した。また金星の大気速度場観測をA-3と比較実施した。アタカマミリ波・サブミリ波干渉計(ALMA)への金星・火星観測提案は2011年選考では漏れたたが、2012年度選考(7月締切予定)へ向けた準備検討を進めた。(投稿論文:投稿前x1) A-2.赤外線の探査機分光観測: Mars Express搭載のフーリエ赤外線分光器(PFS)による「光化学酸化の指標H_2O_2」「温度場」の空間・季節変動について成果をまとめた。金星探査機Akatsukiは周回に至っていないが、Venus Expressデータ解析を継続し、雲頂近傍の構造(特に高緯度域及び運動論的解析)の研究を進めた。(論文:出版済x2、投稿前x1、修士x1) A-3.金星・火星大気数値モデル研究: 金星雲層~熱圏統合力学・化学モデルを完成させ、下層起源波動等がもたらす上層変動(特に風速場・温度場・大気光変動)を定量的に推定した。また、火星・太陽系初期・系外惑星への展開を継続した。(論文:出版済x1、投稿前x1、博士x1、修士x1)(B)地上用中間赤外・探査機用近赤外の高分散分光システム開発 B-1:地上観測用中間赤外域分光器の開発: 震災被害から立て直した「第1世代惑星観測用ヘテロダイン分光システム」で2011年9月・2012年1月に広島大・東広島天文台にて試験観測に成功した。 この成功を受け、東北大ハワイ・ハレアカラ観測施設へ向けた小型化改造へ着手した。 B-2: 探査機搭載用近赤外域分光器の開発:震災等もあって停止したJAXAの「小型軽量・低出力・長寿命の冷凍機」の開発再興に着手した。海外協力による「近赤外高分散エッシェル分光ユニット」は、欧米経済混乱を受けた惑星探査計画見直し等で仕切り直しだが、基礎開発を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初立てた5本の柱のうち、外部環境の影響を受けたのは「A-2.赤外線の探査機分光観測」(金星探査機Akatsukiの周回軌道投入失敗)と「B-1:地上観測用中間赤外域分光器の開発」(震災による研究環境の破壊、すなわち3ヶ月に渡る研究教育の中断、Sensorの1つが破損、試験観測を予定した東北大・飯舘観測所が計画的避難区域指定)、「B-2:探査機搭載用近赤外域分光器の開発」(国内は震災等影響、国外は欧米経済混乱の影響)だが、自力遂行可能な手段への転換も含めて成果は挙がっている。また、自力遂行可能でかつ本研究の柱である「A-1.赤外・サブミリ波の地上分光観測」「A-3.金星・火星大気数値モデル研究」は両者の結合も含め予定以上に進捗した。
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今後の研究の推進方策 |
A-1.赤外・サブミリ波の地上分光観測:引き続き、地上赤外・サブミリ波望遠鏡利用による研究を公募およびハワイ大協力の下で進めていく。A-2.赤外線の探査機分光観測:引き続き、欧州Mars Express・Venus Expressデータ解析を継続するとともに、米Mars Reconnaissance Orbiterの解析、また関連する地球周回衛星による「地球大気観測」に視野を広げて展開していく。A-3.金星・火星大気数値モデル研究:引き続き、確立した金星モデルの火星・太陽系初期状態・系外惑星への展開を継続遂行する。B-1:地上観測用中間赤外域分光器の開発:飯館村東北大60cm望遠鏡移設検討を含む対ハワイ大協力基盤の上で、引き続きヘテロダイン分光器完成へ向け尽力する。B-2:探査機搭載用近赤外域分光器の開発:引き続き、小型冷凍機の開発検討を支援していく。
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