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2010 年度 実績報告書

放射性炭素測定による過去の太陽活動の周期性及び地球環境との関係の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22340144
研究機関名古屋大学

研究代表者

増田 公明  名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (40173744)

キーワード太陽物理学 / 地球変動予測 / 宇宙線 / 放射性炭素 / 加速器質量分析計
研究概要

宇宙線は大気原子核と反応して放射性炭素を生する。この炭素を樹木が取り込み,年輪として固定するので,古い樹木年輪中の放射性炭素を測定すれば過去の宇宙線強度の変化がわかる。地球へ到来する銀河宇宙線強度は太陽活動による惑星間空間磁場の変動に影響されるので,この測定から過去の太陽活動を知ることができる。
過去三千年の太陽活動の周期性,特に11年/22年周期のシュワーベ/ヘール・サイクルの変遷を解明するために,樹木年輪を1年分ずつ処理して測定試料を作成し,放射性炭素濃度を加速器質量分析計で測定,解析した。紀元前8世紀は太陽活動の顕著な極小期と思われ,まずこの年代の試料を1年おきに測定した。分析計が不調だったこともあって,今回の測定でははっきりしたことはわからず,次年度以降にさらに解析をする。西暦7-9世紀はそれほど顕著な極小期ではないが,その兆候はある。そこでこの年代の試料を1年おきに測定した。以前の我々のグループの研究で西暦880年以降を測定しているので,当初想定した測定範囲を少し拡張することによってデータをつなぐことができ,西暦602年~1072年の1年おきの放射性炭素濃度の時系列データを得た。このデータをフーリエ解析したところ,11年と14年の卓越した周期が得られた。11年は現在の太陽活動に見られる平均周期であり,14年は17世紀のマウンダー極小に現れた太陽活動周期である。そこでこのデータをウェーブレット解析したが,顕著な11年,14年周期は見えていない。今後,測定精度を上げて太陽活動周期の抽出を試みる。一方,今回の測定で,8世紀後半に放射性炭素濃度の急激な増加が見られることが明らかになった。この変化が誤差に比べて十分に有意であることを確認し,今後はその原因の特定を目指す。これらの結果から,太陽活動の周期の変化や宇宙線強度の急激な変化が地球環境にどのような影響を与えたかを知る手がかりが得られると考えている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 樹木年輪中放射性炭素14濃度測定による7-11世紀の太陽活動の復元2011

    • 著者名/発表者名
      三宅芙沙
    • 雑誌名

      名古屋大学加速器質量分析計業績報告書

      巻: XXII ページ: 135-139

  • [雑誌論文] Is the Sun Heading for Another Maunder Minimum? Precursors of the Grand Solar Minima2010

    • 著者名/発表者名
      H.Miyahara, et. al.
    • 雑誌名

      J.Cosmology

      巻: 8 ページ: 1970-1982

    • 査読あり
  • [学会発表] 樹木年輪中放射性炭素14濃度測定による6-10世紀の太陽活動の復元2011

    • 著者名/発表者名
      三宅芙沙
    • 学会等名
      日本物理学会 第66回年次大会
    • 発表場所
      新潟大学五十嵐キャンパス
    • 年月日
      2011-03-25
  • [学会発表] 樹木年輪中放射性炭素濃度測定による紀元前4世紀太陽活動極小期におけるシュワーベサイクル周期長の研究2010

    • 著者名/発表者名
      永冶健太朗
    • 学会等名
      日本物理学会2010年秋季大会
    • 発表場所
      九州工業大学戸畑キャンパス
    • 年月日
      2010-09-14

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公開日: 2012-07-19  

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