研究課題
本研究の目的は現在開発中の局所レーザー加熱装置によるマイクロ古地磁気学を確立させ、微小領域放射年代学とのコラボレーションによって地球惑星科学問題を時系列で解明してゆくことである。そこで、今年度の成果として、申請の倒立反射金属顕微鏡に明暗視野照明・透過光偏光ユニットを取り付け、各種磁性鉱物の反射率差による位置あわせを確立した。さらに、無磁場低真空下において、花崗岩試料にスポット加熱する実験を行い、50℃程度の温度調整を可能にした。しかし、3点マーカー刻印による座標系設定は、プログラムの修正中である。一方、地球の熱史を解明するために必要な数億年スケールの地球磁場強度の変遷に関する研究に関して、今年度は20億年前の南アフリカ・Vredefort隕石孔と、カナダ・オンタリオ州グレンビル岩脈の地質調査および試料採集調査を実施した。Vredefort隕石孔の野外調査の結果、高い残留磁化強度を持ついくつかの試料が落雷によることが判明した。それらの試料を除き、衝撃を受けた花崗岩試料23サンプル・シュードタキライト5サンプル・衝撃溶融脈試料14サンプルを採集した。また、カナダの野外調査により土壌をはぎ取ることで今回新たに岩脈と母岩の境界部分の変質を受けていない露頭を発見し、合計43試料を採集した。今後、これらの試料に対してテリエ法に基づく古地球磁場強度推定実験を実施し、地球の熱史に制約を与えてゆく。Tenham隕石中衝撃溶融脈の微細希ガス同位体年代測定は、今年度原子炉での放射化に向けた準備を整えたので、来年度に幅数百ミクロンの衝撃溶融脈中の微小領域アルゴン年代推定実験を実施する。
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GSA Special Paper "Large Meteorite Impacts and Planetary Evolution IV"
巻: 465 ページ: 165-172
Geochemistry, Geophysics, Geosystems
巻: 11 ページ: Q04Z16, 1-15