研究課題/領域番号 |
22340149
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
杉谷 健一郎 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (20222052)
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研究分担者 |
山本 鋼志 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70183689)
三村 耕一 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (80262848)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ピルバラクラトン / スティルリープール層 / レンズ状微化石 / フランジ / 二次イオン質量分析計 / 炭素同位体比 |
研究概要 |
これまでに得られた研究成果は、4月中旬に米国で行われた「Astrobiology Science Conference 2012」と8月初旬にオーストラリアで 行われた「34th International Geological Congress」で発表した。それぞれ2年と4年に一度開催される著名な 国際学会であり、本研究の成果を世界に広くアピールする絶好の機会となった。 南アフリカ・バルバートン地方で採取したチャート試料(約30試料を予定)は、日本へ持ち帰った後、薄 片作成と観察を進めた。当初これらの化学分析を進める予定であったが、スティルリープール層の新しい微化石産出地点に関する論文作成と、同層の微化石の個別炭素同位体組成データの解析(ウィスコンシン大学との共同研究)を優先させた。その結果、微化石の新たな産出地点に関してはPrecambrian Researchに論文が掲載され、個別同位体分析結果についてはGeochimica et Cosmochimica Actaに掲載が決定した。前者については、産出地点がスティルリープール層の中でもストロマトライトの産出で知られるトレンドール露頭の近傍であり、この微化石群に対する認識をより深く浸透させる上で重要な成果であったと考えている。後者については、小型球状化石とレンズ状化石で統計的に有意に異なる炭素同位体比が得られた。このような形態に対応する微化石の同位体組成の違いを明らかにしたという成果はこのような古い時代の化石では初めてである。また塩酸-フッ酸分解により微化石を抽出することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二次イオン質量分析計を用いた炭素同位体分析が予想以上に順調に進み、きわめて重要な成果が得られた点とすでに国際誌に2本の論文が掲載決定されている点は自分自身高く評価できる。また塩酸-フッ酸分解により保存状態の良い微化石を大量に抽出できたことは非常に重要な成果であると考えている。一方でこれらピルバラクラトンの試料と比較する対象であった南アフリカの試料の分析と解析が遅れている点は反省すべきであろう。
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今後の研究の推進方策 |
既に論文にしたデータ以外にも、酸抽出微化石の形態データも1000個体を越えている。しかしながらその解析はまだ進んでおらず、論文を構想するまでに至っていない。一方現在作成中の論文が2件あるので、それらを早急に投稿できるまでに持って行く必要がある。また南アフリカの試料の分析を進め、微化石データを収集し、オーストラリア産微化石との比較を進める必要がある。最終年度であるので、国際会議に参加して成果を公表したい。
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