研究課題/領域番号 |
22340150
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山路 敦 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40212287)
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研究分担者 |
佐藤 活志 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70509942)
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キーワード | 月 / テクトニクス / 変形 |
研究概要 |
月面の形状から地殻短縮量を推定するために,かぐやの光学データから作成された地形データ(DTM)を扱った.具体的には,同データをMATLABで三次元表示するスクリプトを作成し,レーダーサウンダーで地下の層状構造が比較的明瞭だった,晴れの海の4地域でリッジの形状と規模を観察した. その結果,どのリッジも数十km以上の延長を有するにもかからず,麓から尾根までの平均勾配が数%にすぎないことがわかった.月では角距離の1度が水平距離30kmに相当するので,リッジの形成による月地殻の三次元的変形を三次元のまま把握するためには,リッジを含む角距離数度四方の地形を調べることになる.すなわち,変形前に月面およびその下に横たわる地層面が水平だったという前提を,それらが平面をなしていたという仮定で置き換えることができず,変形前後とも月面の平均曲率を考慮しなければならないことがわかった. 月のリッジの平均勾配がこのように小さいことは,個々のリッジの形成による地殻短縮量が小さかった子を示唆する.月のグローバル冷却から予想される月の収縮率の理論値が1/2000程度なので,その短縮を担ったはずのリッジのそれぞれで,地殻短縮量はこの比より数桁大きくなければならず,それならばリッジの起伏は,かぐやによって明らかになったよりも大きくなければならない.グローバル冷却は経時的現象であるから,変形量とともにリッジごとの形成年代を推定することが重要であることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リッジの規模に比べて月面の曲率が大きいため,それを考慮した方法の考案にてまどったため.また,変形の年代を決定するため,クレータ年代学の習得を行ったため.
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今後の研究の推進方策 |
リッジを横切る2次元断面で歪みを見積もるという,より簡便な方法を考えることに下.また,クレータ年代を考慮して,特定地域におけるテクトニクス史をしっかり編むことにした.
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