研究課題/領域番号 |
22340151
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
清川 昌一 九州大学, 理学系研究院, 准教授 (50335999)
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研究分担者 |
伊藤 孝 茨城大学, 教育学部, 教授 (10272098)
池原 実 高知大学, 自然科学系, 准教授 (90335919)
山口 耕生 東邦大学, 理学部, 准教授 (00359209)
後藤 秀作 独立行政法人産業技術総合研究所, 地圏資源環境研究部門, 研究員 (10378557)
渡邊 剛 北海道大学, 理学(系)・研究科(研究院), 講師 (80396283)
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キーワード | 鉄沈殿物 / 熱水活動 / カルデラ / サンゴ掘削 / 熱水循環 / 縞状鉄鉱層 / 長期観測 / 温度変化 |
研究概要 |
鬼界カルデラは7300年前に形成した海底カルデラで,その影響は日本各地にアカホヤ火山灰として影響を与えている.カルデラの外輪山は薩摩硫黄島,竹島に残っており,薩摩硫黄島では硫黄岳が現在でも活発に活動しており,周辺部に熱水を流出している.ここでは赤褐色の鉄沈殿物がみられ,この沈殿物が鉄沈殿作用の鍵を握っていると考えられる. 23年度における.1)鬼界カルデラの音波探査:カルデラ内の構造および古い埋没カルデラを明らかにし,南部におけるリフト状凹みを明らかにした.2)硫黄島周辺部のサンゴ掘削:3m大の浜サンゴについて,硫黄島北部地域で取得に成功した.普通真っ白のサンゴだが黒い縞々を含むサンゴが取得できた.火山の周りは通常の海水よりpHが低く酸性にもかかわらずサンゴが生育していることが明らかになった.3)温度分布・流水量の観測:長浜湾において熱水活動の長期観測を行った.現在流水計を設置しており,4月に第一回目のデータの取得を行う.4)長浜湾における堆積物,チムニー,鉄浮遊物,トラップ設置を新たに行っている,それぞれの化学分析を行っている.気象データから,長浜湾に沈殿した堆積物の10年間の挙動を解明し,天候・潮の満干・鉄沈殿と地層形成の関連性が明瞭になった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サンゴ掘削が天候と日程により中途半端に終わっていたが,本年度は天候にも恵まれ,また一度見失っていた巨大珊瑚を改めて確認し,掘削できたことが大きい.また,流水計については,昨年4月の調査で故障が判明し半年遅れの9月設置となった.また,海底長期観測カメラである潜りビューの1台を回収できておらずデータが見えていないこと以外は,比較的順調にデータ回収が行われている.
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今後の研究の推進方策 |
現在,多角的に長浜湾内の鉄沈殿物を調べるために,いろいろな計測器を設置している.今まではカメラや温度計の連動性などデータセットが機器の不調で揃わなかったが,本年度後半になり機器類が整備されたので,来年度に向かって多角的な写真や温度のデータセットが揃う.このデータの解析により今後短期間の堆積機構を明らかにしていく.また,すでに回収している鉄沈殿物コア,チムニーマウンド,および鉄浮遊物に対してそれぞれの永酸化鉄の違いを観察・化学分析により明らかにしていく.
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